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リケッチア症
リケッチアは元来、細菌に属する。Gram染色では染まらないが、Giemsa液、或いはMacchiavello法または Stamp法でよく染色される。
非運動性で、桿状または稀に楕円形ないしは舟型を呈し、大きさは 0.3-2μm である。その構造と化学的特性は他の細菌のそれと類似しているが、細胞内でしか増殖しない。外界では非常に脆弱で、生きた細胞でないと培養出来ない(卵胚組織による培養)。
リケッチア症には共通点がある。節足動物によって媒介され、血管の内皮細胞を選択的に冒し、発熱、発疹、時折ツゥーフォスといった、いくつかの共通した症候を呈す。診断は血清学的に行い、準特異的な方法(Weil-felix法)と特異的方法(微小凝集法)が利用される。
tetracycline系かchloramphenicol のような抗生剤に感受性がある。
リケッチア症の分類は、世界中に見られる群(発疹チフス、発疹熱)、紅斑熱群、アジアのリケッチア症、およびQ熱の4つに分けられる。
世界中に見られるリケッチア症(ricettisoses cosmopolites)
この群には発疹チフス、発疹熱、塹壕熱が入る
発疹チフス(exanthematous typhus, typhus exnthematiques) ICD 080.
(同義語:シラミ媒介チフス)
歴史と現状(history and situation quo)
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diagnosis)
治療(treatment)
予防(prevention)
発疹熱 (murin typhus, typhus murin) ICD 081.0.
(同義語:endemic typhus, typhus endemique)
長い間発疹チフスと混同されてきたが、発疹熱はその疫学と症候から区別された。
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diagnosis)
治療と予防(treatment and prevention)
塹壕熱 (trench fever, fievre des tranchees) ICD 083.2.
(同義語:5日熱)
消滅しつつある疾患で、疫学的には発疹チフスに近い。R.quintana(同義語: Rochalinaea quintane)が病原体で、ヒトが唯一の保有動物である。媒介動物のシラミの排泄物で感染する。
本疾患はメキシコと欧州で猛威を揮い、特に第一次世界大戦中凄まじかった。
発熱、疼痛、麻疹様の発疹で発病し、2-3日間に10-15回の熱発作が5日の間隔をおいて認められる(それ故5日熱)。
診断はサルへの接種、血液寒天培地(R.quintanaはリッケッチア中で唯一無細胞培地で増殖する)、或いは補体結合反応で行なう。
根治的治療と予防は発疹チフスのそれと同じである。
腺熱リケッチア症 (ehrlichiosis, ehrlichiose)
Ehrlichia属の2種、E.canisとE.sennetsu(またはRickettsia sennetsu)がマダニの吸血により伝染する、ヒトの疾病である。
前者は世界中に見られ、後者は日本、マレイシアで報告されている。臨床的には発熱、悪心、嘔吐、筋肉痛、時おり精神障害を認める。病期は平均8日間である。血算ではリンパ球減少による白血球減少症と血小板減少症が明らかとなる。肝機能が低下する。tetracycline系が有効と考えられる良性の疾患である。
紅斑熱群のリケッチア症
この群に属するリケッチア症は、散発的に出現し、ヒトと多数の動物に共通して起こり、マダニ吸着で伝播することが類似している。
症状は近似しているが、重篤度は非常に差がある。血清学的に交差反応を示す。実際にこの群は、R.conoriに因る地中海沿岸のボタン熱(丘疹熱)、R.sibericaなどに因るダニチフス、 R.rickettsiに因るロッキー山紅斑熱、R.akariに因るリケッチア痘が含まれる。
地中海沿岸のボタン熱 (fievre boutonneuse de littoral mediterraneen) ICD 082.1.
1910年にTunisでConorとBruchによって初めて記述された。日本では一般に丘疹熱と呼ばれる。
疫学的、症候学的な主要特性は今世紀初頭に確定されたが、その広がり方は最近まで知られていない。
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diganosis)
治療と予防(treatment and prevention)
旧世界にあるその他のダニチフス (autres rickettsioses a tiques de l'ancien monde) ICD 082.2.
R.conoriの変異種(R.pijperi, R.australis)または土着種(R.siberica)は、従来から知られたダニチフスに類似したリッケチア症である(何人かの学者によれば、コンゴ紅斑熱もこの群の一部であるという。
新世界の紅斑熱 (fievres pourprees du nouveau monde) ICD 082.0.
新世界にあるいろいろな紅斑熱を集めると、媒介ダニや保有動物の地域的な違いによって、重篤度はさまざまである。この代表例はロッキー山紅斑熱である。
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diagnosis)
治療と予防(treatment and preveniton)
リケッチア痘 (fievre vesiculeuse) ICD 083.0.
(同義語:水泡型リケッチア症、 rickettsial pox)
リッケチア痘はR.akari(同義語:Dermacentroxenus akari)が病原体で、本来ネズミが罹る。ネズミマダニ(Allodermanyssus sanguineus)の咬着により伝播する。このマダニに偶然咬まれた者が発病する。米国やアフリカ中央部に見られる。
潜伏期は12日で、刺し口が丘疹-水泡-痂皮となり、所属リンパ節の腫大を認める。8日後に熱発し、水痘様発疹を呈す。予後は良好である。
診断はR.akariをモルモットかハツカネズミに接種して分離するか、卵胚による培養、或いは補体結合反応による。
恙虫病 (scrub typhus) ICD 081.2.
(同義語:叢林チフス、日本河川熱)
このリケッチア症はアジアで非常に多く、日本では古くから知られている。取り分け、この地域に派遣された軍隊(太平洋戦争、インドシナの独立戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争)には脅威であったため、以来研究が続いている。
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diagnosis)
治療と予防(treatment and prevention)
Q熱 (Q fever, fievre Q) ICD 083.1.
(同義語:Derrick-Burnet病)
Q熱は1935年にDerrick によって《query fever 》(不明熱)として記載され、1937年にBurnetが病原体を分離した。他のリケッチア症とは、その疫学的、症候的違いから区別される。
疫学(epidemiology)
症候(symptomatology)
診断(diagnosis)
治療と予防(treatment and prevention)
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