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症候
典型例:潜伏期はWHO(世界保健機関)によれば14日間で、発病は激烈である。悪寒、40℃にのぼる熱発、背部痛、頭痛、顔面の紅潮と結膜充血を見る。これを全身期と呼び、このような感染性の症候群にツゥーフォス、発疹が合併する。感染性の症候群は重篤で、発熱は40℃に稽留し、脈拍の解離はない。脱水と乏尿、低血圧、舌の乾燥を認める(患者の舌を引き出そうとすればするほど難しくなるのを、Godelier兆候という)。消化管障害が微弱で、肝脾腫を認めないことは、特筆に値する。
ツゥーフォスとは意識混濁と昏迷に、時折幻覚性譫妄を晩に多く認めるものである。発疹は第4-5病日に出現する。始めは体幹から四肢へ広がるが、いつも首、顔面、手掌、足蹠には少ない。丘疹性局面から出血性丘疹へと変わっていく。このような経過は、抗生剤投与により変化する。かつては熱発とツゥーフォスは、良好な経過例では15日ほど続き、その後急速に解熱して、患者は回復期に入る。合併症は頻繁で、死亡率も高かった。抗生剤の使用により、熱発やツゥーフォスは数日で消失するが、発疹は経過中持続する。

  臨床上見る症例:しばしば無症候性の軽症型で、特に小児に多い。見逃されることがよくあるが、流行を拡散させる重要な役割を果たしていることは間違いない。重症型には、悪性型と合併症型の2つがある。悪性型は出血や失調性筋無力症を起こす。合併症型には重感染、心筋炎、動脈炎(乾性壊疽の原因に昔なった)、脳炎(意識障害、いろいろな巣障害、精神障害)が生じる。
このような合併症はいずれも急性期に発症し、抗生剤治療をしてからは希となった。発疹チフスと、その後突発するLeo Buerger血栓性動脈炎や血管性眼障害または心内膜炎との関連は、論争中である。

  湧出性チフスまたはBrill@:移民や引き揚げ者に多く、シラミのいない者に突発する、散発性チフスである。昔流行したチフスが湧き出した(所謂はるか昔の病気の再発で、再感染でない)もので、前述の型とは大きく異なる。症状は一般的に良性だが、晩期に血管性の合併症を起こす可能性があるため、治療した方がよい。これは本型が流行の合間のR.prowazekiの生存に、役割を果たしているのでないかと注目している。

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