ICD-9 070.1 ICD-10 B15
A型肝炎は別名、流行性肝炎(endemic hepatitis)またはカタル性黄疸(catarrhal jaundice)と呼ばれる。かつて日本にも普通に見られた疾患だが、衛生環境の改善により、昭和30年代以降に日本で生まれ育った者には殆ど免疫がない。
1990年代にワクチンが開発、市販されたため、予防接種対象疾患となった。特に発展途上国に出かける日本人スタッフにはワクチン接種が必須。
B型肝炎はかつて血清肝炎(serum hepatitis)と称され、体液を介して伝染するウイルス性肝炎の代表。慢性化して肝硬変から肝細胞癌を引起こすことがある。
感染力が極めて強く、熱帯地方の多くは浸淫地域なので、保健医療活動を行う際には感染の危険性が高い。免疫がない者には予防接種を強く勧める。
C型肝炎は1988年までウイルスが発見されなかったため、非A非B肝炎と分類されていた。先進諸国では輸血後肝炎のうち、8割以上を占めていたと云われる。
慢性化して一部は肝硬変から肝細胞癌に進展する恐ろしい肝炎であるが、現在のところワクチンは開発されていない。
Rizettoらによって1977年に発見された肝炎ウイルス。HBs抗原を外被とし、コアにRNAゲノムとδ抗原が存在することからデルタ肝炎とも呼ばれる。
B型肝炎と同時または重複して感染した場合にのみ発病することが重要。予後は単純なB型肝炎例より悪いことが多い。
非A非B肝炎のうち、A型肝炎に疫学が類似しているが、散発例や小規模な流行例が熱帯地方起こり、取り分け妊娠末期に発病すると予後不良のウイルス性肝炎が知られていた。1990年代に入ってE型肝炎ウイルスとして同定されるに至った。
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