経口感染する非A型肝炎の殆どがE型肝炎。HEVは直径27〜32nmで、外被のない一本鎖RNAウイルス。
経口感染する、慢性化しない、無症候感染が半数以上の点がA型肝炎に類似している一方、二次感染による集団発生が稀なこと、妊婦に発病すると死亡率が概ね10%と極めて高いことが重要な特徴である。
潜伏期は2-10週間(平均4-6週間)で、潜伏期間中から発病後2週間まで便中にHEVを排泄すると云う。
自然界のウイルス保有宿主は不明だが、チンパンジーを含む霊長類とブタに感染する。
HAVとHEVの疫学的な相違点を以下に示す。
A型肝炎 | E型肝炎 | |
潜伏期 | 4-5週間 | 4-6週間 |
保有宿主 | ヒト | 不明 |
主汚染物 | 食品 | 飲料水 |
妊婦感染 | 稀* | 高率死亡 |
二次感染 | 時々# | 殆どなし |
*熱帯地方では殆どの者が乳児期に感染しているため
#特に衛生状態の良好な地域で見られる
世界的な分布を示すようだが、特にインドネシア、中国南部、ネパール、ミャンマー、バングラデェシュ、インド、パキスタン、イラン、旧ソ連の中央アジア諸国、アルジェリア、リビア、ソマリア、及びメキシコからの報告が多い。
このページはAMDA学術委員会により作成されました。