1990年代に入り、A型肝炎には弱毒生ワクチンや不活化ワクチンが実用化され、予防接種対象疾患となった。
昭和30年代以降に日本で生まれ育った者は、本症の既往がない限り、まず免疫をもたないと考えられる。出来れば抗HAV抗体を調べた後、ワクチン接種を行うのが望ましい。
不活化ワクチンの場合、ワクチンによって用量は異なるが、2回接種(2回目は初回の6-12ヵ月後)で全員が免疫される。1回だけのワクチン接種では、完全な効果が期待できない。至急の用事で浸淫地へ渡航する必要がある場合や、浸淫地外で集団発生が起こった場合には、抗HAVヒト免疫グロブリンを筋注するのが良い。
曝露の条件 | 免疫グロブリンの用量 |
滞在1-2ヵ月 | 0.02ml/kg |
滞在3-5ヵ月 | 0.04ml/kg* |
集団発生時 | 0.02ml/kg |
*滞在期間が半年を越える場合には、追加接種が必要。
但し、免疫グロブリンは一部の生ワクチンと同時または近接して接種すると、血清学的に干渉することがある。
同時接種可能なワクチン | 経口ポリオ生ワクチン、黄熱ワクチン |
半年開けるべきワクチン | 麻疹・風疹・おたふくワクチン、水痘ワクチン |
ワクチンの予防効果は、接種後4-5年で抗体価が半減することが報告されているものの、それ以上持続する。
米国のA型肝炎に関する予防勧告も参照されたい。
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