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「善意の絆 相互扶助」【Vol.32】株式会社 おかやま工房 社長 河上祐隆様

公開日:2020年02月26日
 
たかがパン、されどパン…。1999年、当時のパン製造業界の常識を覆す「完全無添加パン」の製造に成功。地方都市・岡山で大きな花を咲かせた小さなパン屋の社長・河上祐隆さん。いま、海外進出を視野に「世界で一番おいしいパン作り」に情熱を燃やしています。
 

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まず河上社長とパンとの出合いを聞かせてください。
 

河上社長

大阪で母と妹の4人暮らし。ごみ箱から拾った新聞の求人欄で偶然に目にしたのが「製パン」の文字でした。パンを作りたいというより生きていくために、目の前にあったこの仕事が必要だったのです。高校卒業後の18歳の時でした。
 

AMDA

厳しい仕事の世界と聞いています。
 

河上社長

初任給は8万円。一日15、16時間働くのは当たり前。「パン職人は親の死に目に会えない」と言われていました。
 

AMDA

多感な時代に長時間労働。悩み多い苦しい時を過ごされたと推察しますが、当時のターニングポイントとなった出来事を聞かせてください。
 

河上社長

「パンの神様」との出会いです。もともとは酵母菌の研究をしていた林先生で、パン職人のトップの統括チーフをしていました。この人が作るパンは絶品で、「ゴッドハンド」とも呼ばれていました。当時、職人見習いの私にとって雲の上の存在でしたが、その後の私の人生に大きな影響を与える恩師となりました。
 

AMDA

22歳で独立されましたが、大阪は“生き馬の目を抜く”と言われるほどの激戦地。大変だったでしょうね。何か心に残る思い出はありますか。
 

河上社長

独立した時の自己資金は100万円。借金1400万円でスタートしました。恩師の林先生からは「おいしいパンを作ったらあかん」と教えられました。パンはケーキとは違う。たまに食べるケーキのような個性の強すぎるものでは毎日買ってもらえない。毎日でも食べたい。おいしいけど飽きないパンを提供しろという意味です。今でも私が心に留めている言葉です。
 

AMDA

岡山市にパン屋を移転された理由を教えてください。
 

河上社長

恩師の林先生が岡山出身だったこと、もう一つは子どもがアレルギーで、環境の良いところを選んだということです。
 

AMDA

「無添加パン」という画期的な研究をされ、1999年から売り出されました。きっかけは何だったのでしょうか。
 

河上社長

パートで雇用していた主婦が1日3回、毎日パンを食べ、お米は食べないという大のパン好きでした。ある日、手作りの無添加パンを持参して私を驚かせたのが、私のチャレンジ精神に火をつけました。
 

AMDA

無添加パンの売り上げはどうでしたか。
 

河上社長

「パンが固い」「ぱさぱさする」「以前の方が良かった」―とすごいクレームが届き、売り上げは激減。廃業となるのではないかと周囲から心配されました。無添加のままでは雑菌が酵母菌を殺すため、その原因を抑える研究を続け、消費者に啓蒙。約1年後には「安全、安心のパン」として徐々に評判を呼び、お客様も戻ってきてくれました。
 

AMDA

河上社長がパン屋の創業を支援する「リエゾン・プロジェクト」も今、注目されています。
リエゾンの意味を教えてください。
 

河上社長

リエゾンは結ばれる、つながるという意味のフランス語で、お客様とつながり、スタッフ同士のつながりを大切にしたいという思いを込めています。プロジェクトを受講し、開店したパン店は国内237店舗、海外20店舗です。
 

AMDA

プロジェクトに取り組まれたきっかけを聞かせてください。
 

河上社長

後継者難でパン屋の廃業が進む現状と、パン作りに夢を持つ人たちの手伝いが出来たら、と考えて始めました。
 

AMDA

ところで、長期間にわたり、店舗に募金箱を置いて、集まった浄財を寄付して頂いています。貴社の設立はAMDAと同じ1984年で、35周年を迎えられています。何か縁のようなものを感じますね。AMDAへの寄付にどんな思いを寄せられているのでしょうか。
 

河上社長

これまで約20カ国を仕事で巡りましたが、ストリート・チルドレンなど極貧の子どもたちの存在に胸を痛めてきました。山あり谷ありの人生の中で私も恵まれた人たちとの縁でここまで来られた。助けてもらったありがたさと自分が助けられる時はできるだけ援助したいと考え、その思いをAMDAに託しているのです。
 

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最後に愛読書と座右の銘を教えてください。
 

河上社長

イギリス人の著書で「原因と結果の法則」です。人生も壁に当たるには原因がある、と謙虚に振り返ることにしています。座右の銘は「新しい挑戦が新しい世界をつくる」です。
(聞き手・広報担当参与 今井康人)
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