1984年設立、国連経済社会理事会総合協議資格NGO 認定特定非営利活動法人AMDA

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ネパール支部とインド支部訪問記(1)〜保健教育への挑戦〜

公開日:2020年01月08日
 
AMDAグループ代表 菅波 茂
 

メチ病院

2019年8月31日。マレーシア連邦のクアランプール国際空港からネパール民主共和国カトマンズ国際空港にマレーシア航空で飛びました。時間は4時間30分ほど。AMDAネパール支部事務局長のレグミ氏が迎えに来てくれました。ホテルは小規模で清潔感があり、スタッフの気持ちの良い応対が印象的でした。屋上にある喫茶で最近の事情をいろいろと教えてもらいました。何よりもうれしかったのが、AMDAは3ケ所の病院を運営していますが、最も問題だったメチにある病院の経営がうまくいっていることでした。AMDAメチ病院はAMDAダマック病院から車で1時間半の距離にあります。2008年に日本大使館の草の根無償資金を活用して建設されました。AMDAネパール支部の意欲は充分でしたが、病院機能としては不十分な体制のままで出発しました。結果的に、運営がもはやこれまでというところまで追いつめられました。日本大使館としても日本国民の税金で建てられた医療機関が外国の団体に譲渡されることだけは避けてもらいたい。このような状況の中で岡山のAMDA事務所に連絡が入りました。私にとっては寝耳に水。というショックでした。
 

メチ病院スタッフと話す筆者

2015年9月29日。メチ病院で会議が開かれました。メチ市副市長、メチ市商工会議所会頭など地元の有力者達とAMDAダマック病院長のナビン医師と私。その他は病院の関係者が参加しました。全体の雰囲気は何とかして病院の再建と継続でした。メチ市商工会議所会頭がこの病院は地域のために絶対に必要だと、個人的に100万円の寄付を提示しました。私もその男気に感動、思わず、個人的に100万円の寄付を提示しました。その時に握手をした彼の力強い手の感触を今でも覚えています。副市長もメチ市としての更なる積極的な支援を表明しました。ナビン医師もAMDAダマック病院としての積極的な支援を表明しました。このような関係者の善意と実行力でメチ病院が再建に成功した経過があります。レグミ事務局長の話では超音波器械が最も整備したい機能の一つでした。それは妊産婦健診のためです。ちなみに、AMDAダマック病院では1年間に5〜6千件の出産があります。メチ病院の患者の多くが周辺の山岳地帯からやって来ます。妊産婦もたくさんいます。妊産婦にとって、不便な交通のなかを、わざわざメチ病院に検診に来ることは大変なことです。超音波器械を掲載した車両で山岳地域の妊産婦健診を実施したいとの希望でした。

なお、9月3日に日本大使館を訪問して西郷正道大使にお会いしました。突然の面会申し込みに応じていただいたことを心から感謝しています。下記の超音波器械と車両の活用に関して、次の3つの目的で草の根無償資金への適用をお願いしました。1)妊産婦巡回診療-山岳地帯。2)地域医療としてメチ病院で活用。3)災害時対応車両(2015年4月に発生したネパール地震被災者支援医療活動にダマック病院とメチ病院は共同で積極的に医療チームを派遣。機動力としての移動車両を再確認)。

 

歓迎会にて、メチ市長(左から2人目)と
商工会議所会頭(左から3人目)

9月3日。AMDAネパール執行部による私の歓迎食会にメチ市長とメチ商工会議所会頭が参加した。様々なトピックが話題になりました。市長が市政で「健康と教育」を重要視したいとの発言がありました。私は「健康と教育を合わせた健康教育を実施されたらどうですか。世界に冠たる日本の平均寿命の長さには小学生から実施されている健康教育が貢献しています。手の清潔から始まり、食べ物の意味と組み合わせなど多くの知識を学びます。ポイントは保健省系列の健康と文部省系列の教育が学校の現場で一つのコンセプトとして実施されていることです。アジアの国々ではまだ一つのコンセプトとして実施されていません。メチ市がネパールにける健康教育の発信の地になったらどうですか。あなたは市長として条例を創ることができると思います。あなたと商工会議所会頭と教師の三人をAMDAの負担で岡山に招待したく思います。前向きに検討してください」と提案しました。市長と商工会議所会頭からは積極的な反応がありました。「いつ行ったらいいのか」と。彼らはこの会議の後に飛行機でメチ市に帰っていきました。

AMDAはモンゴル国で小児の眼の検診を2012年から2018年まで実施しました。この成果をふまえて保健省は9月第3日曜日を子どもの眼を守る日として制定しました。予算不足のため全国規模で子どもの眼の検診を実施することはできていません。しかし、近い将来に予算が付けば、いつでも実施できます。このプロジェクトのパートナーとして2012年から6年間の長きにわたりお付き合いいただいた川崎医療福祉大学感覚矯正学科学科長高裕子教授には心から感謝しています。

NGOはどんなに大規模な予算を使用していても、法の制定はできません。法の制定に向けての努力と貢献はできます。法の制定が無ければ本当の継続性が確保できません。ネパール連邦民主共和国における小学生の健康教育の発信の地がメチ市となり、保健省が健康教育を法のもとに全国規模に展開する。AMDAの国際保健医療協力の法の制定の第2の事例となればと思っています。


 
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