1984年設立、国連経済社会理事会総合協議資格NGO 特定非営利活動法人AMDA

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タイ王国洪水被害緊急医療支援の先遣隊に参加して(2)

公開日:2019年12月25日
 
アムダ総務課 太田 浩子
2019年12月15日、「AMDA感謝と報告の集い」にご参加いただいた古谷 清久医師が、2011年10月のタイでの洪水被害に対する緊急支援活動に参加された当時の報告を3回に分けてご紹介いたします。
 

タイ王国洪水被害緊急医療支援の先遣隊に参加して(2)

古谷皮膚科クリニック 古谷 清久

緊急支援物資を届けたピクン第3村

(左より村長・古谷医師・ノンカチャオ村の役人)

 コーディネーターからの連絡も無く、蒸し暑い中、上着を着て多くの荷物を持ったまま、まずは受付へ向かいました。国立ラチャヴィティ病院は大学病院並みのタイ国一の国立病院ですが、受付嬢は英語がわからず、さぁ大変!そうそう私はタイ語協力医でした!!しかしタイ語でAMDAメンバーの居場所を訪ねても全然わかりません。20分くらい待たされたあと、ようやく警備員に案内された場所は救急部医局の会議室のような所で、皆で緑色の救命ロープを10mに切断し、末端が広がらないようにローソクの火で固めている最中でした。足りないライフジャケットのかわりに1世帯1本配るとのことです。同時に汚物袋や常備薬、簡易トイレ、スイス製の浄水器などを袋や箱に詰めました。普段テレビなどでは、緊急医療援助隊が被災地で診療している姿しか見ることがありませんが、その前に物資調達や箱詰めなど大変な後方支援作業があることを知らされ、本当に勉強になりました。結局その日の作業を終えたのは、夜11時(日本時間深夜1時)でした。


 翌10月19日は朝5時起床。ラチャヴィティ病院を出発し、タイ中部の被災地、ナコンサワン県チュムセーン群ノンクラチャオ町へ、病院の緊急車両3台とタイ人医師が運転する自家用四輪駆動車3台に、カウンターパートナーであるタイ国救急医学会会長をはじめとするタイ人医師5名、救急部の看護師と救急救命士13名、それから我々AMDAの3人の計21名が分乗して向かいました。緊急ランプを点滅させながら走行したのですが、大きく迂回して洪水のないロッブリを通ったため、普段なら2時間半で着くところを約8時間かけて現地入りました。ノンクラチャオ町役場で説明を受けたあと、近辺の村へ昨夜詰めた救援物資約400人分を届けました。当初タイ全土で300名ほどの死者が出ていましたが、私の行った場所では急病人はおらず、村長と村民に浄水器をはじめとする救援物資の使用方法を教え、また迂回路を通ってバンコクへ戻ってきました。


 10月20日朝、国内線用の旧ドン・ムアン国際空港でタイ国政府が緊急防災会議を開き、AMDAの3名は招待を受けオブザーバーとして参加しました。厳しい警備を通り抜け会議室につくと、周りの小部屋にはマスコミの報道センターや記者会見室が用意され、奥のVIPルームにはインラック首相や閣僚もいらしていたようです。タイ中部の洪水が徐々に南下し、ドン・ムアン空港周辺の国道も冠水が始まっていました。私は開業医で患者さんが待っているため、AMDA本部の指示で予定より半日早くバンコクを発ち、翌21日午前中に成田に戻ってきました。
 
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