AMDA 理事 難波 妙

同プロジェクトは、令和 4 年度の外務省 NGO 連携無償資金協力事業として採択され、本年度は、ウクライナ国内で避難を余儀なくされている方々の支援活動をハンガリーおよびウクライナ国内の団体と協力して行っています。
ハンガリー側の連携団体
◆ヴァルダ伝統文化協会

また、ウクライナのドニプロ地域にある孤児院から西側のムカチェボ近辺に避難してきている子どもたち 110 人への物資支援も実施。支援開始当初は、協会の担当者が訪れても、子どもたちは周りの人を信頼できず、顔を見せることはなかったものの、今では全員で出迎えてくれるようになりました。
今後は、ダムが決壊し大規模な洪水が発生したウクライナ・ヘルソン地域でも多くの被災者のための食糧支援を実施する予定です。
◆メドスポット

ウクライナ国内の連携団体
◆セントミッシェル小児総合リハビリセンター
ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロド地区にある、子どものリハビリに特化した施設で、ウクライナ西部に位置するため、国内全土から障がいを持つ子どもや家族が避難してきていま す。AMDA は 同 施 設 を通じて、戦禍で心理的なダメージを受けた子どもたちや避難者に対し、医療の提供、ならびにリハビリなどの専門的な治療を行うとともに、食糧や暖房器具、光熱費などを提供しています。現在は、医薬品も高騰しており、避難者が適切な医療を受けることが難しくなっている状況です。こうした中、通常では高額になる歯科の治療も、避難者に対しては無料で行っています。このほか、通常の治療に使用する抗けいれん薬、抗ウイルス薬なども提供しています。

◆ダイナスティメディカルセンター

聞き取りから見えてきたハンガリーおよびウクライナでの諸問題
AMDA は、上記団体との支援活動を、NGO 連携無償資金協力事業として実施するため、5 月中旬に職員 1 名と看護師1名をハンガリーに派遣。ウクライナの情勢や現在の支援状況について、各団体の担当者に聞き取りを行いました。それぞれの団体から聞き取った現状は以下の通りです。【ハンガリー側での問題】
「昨年10月は、物価の高騰が問題でした(食料品は3割上昇)。しかし、今回はそれに加えて、物資の購入制限が付いたことで、ハンガリーからウクライナに持ち込むことのできる 1 回分の支援物資の数にも制限が付くようになりました。今までと同じ量を持ち込むためには輸送回数を増やす必要があります。しかし、燃料費も高騰しているため、支援を取り巻く状況は一層厳しさを増しています。こうした理由から、支援を寄せる人たちの数は激減しています。一旦避難してきた子どもたちの状況をその後追跡できておらず、彼らがその後どのような暮らしをしているのかが心配です」

【ウクライナ側での問題】

◆ダイナスティメディカルセンター(ウクライナ東部)
「避難していた子どもたちが、家族と一緒に暮らすためにハルキウに戻ってきています。このような子どもたちは、建物の地下室で一時的な教育を受けています。また長期的な治療の継続は、経済的にも物理的にも困難を極めています。そのような中で、できる限り最善の治療が行えるよう病院再建に尽力しています」