寄稿 『ウクライナ避難民支援』(2022/04発行ジャーナル春号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

寄稿 『ウクライナ避難民支援』(2022/04発行ジャーナル春号)

特定非営利活動法人 TICO代表理事 吉田 修 医師
 

活動地ザホニー(Zahony)の駅舎で
避難者を診察するTICO吉田医師

「ロシアがとんでもない戦争を始めたため、ウクライナからとんでもない人数の避難民が周辺国に脱出し始めた。なんとも不快な『もどかしさ』を感じていた時、AMDAがハンガリーで避難民支援を行うとのメールが届いた。早速、菅波代表に電話したところではAMDA+TICO合同でやろうということになり、第2陣として我々が派遣されることとなった。ハンガリー到着後、多くの方にご協力をいただき国境二ヶ所で医療支援チームに加わることとなった。

現場では、ハンガリーの人々が寛大に無条件で避難民を受け入れており、開戦からわずか二週間で官民一体となって体制を整えていた。簡素な行政手続き、輸送、食事、宿泊、支援物資、医療も無料で提供されている。その後、続々とヨーロッパ各地から様々なNGOも支援に訪れた。EUの壮大な理想を感じた。

ハンガリーの医師たちと第三次世界大戦の可能性について議論した。ちょっとしたきっかけでNATOとの戦争に拡大する可能性がある。また、ロシアが生物化学兵器、戦術核兵器に手を出す可能性も指摘されている。この馬鹿げた戦争は20年以上権力を掌握した独裁者プーチンが始めた。ロシアにも個人の自由、言論の自由が保障された憲法がある。しかし言論は統制され情報は歪められナショナリズムが煽られ、戦争に突き進んだ。独裁の気配を察知し早期に目を摘む、質の高い民主主義が肝要である。戦争に勝者はいない」