ハイチ地震被災者緊急支援活動(2021/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ハイチ地震被災者緊急支援活動(2021/10発行ジャーナル秋号)

GPSP支援局総務担当 ブルックス雅美
 

【概要】

8月14日午後9時半頃(現地時間8月14日午前8時半頃)、中米ハイチでマグニチュード7.2の地震が発生。国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、震源地に近い同国南西部を中心に、死者2,248人、負傷者約12,763人、行方不明者329人。80万人以上が被災し、13万軒以上の家屋が全壊あるいは損壊するなど、甚大な被害が出ています(9月7日時点)。

AMDAは地震発生後すぐにAMDAハイチ支部マック・ケヴン・フレデリック支部長より連絡を受け、医療支援を決定。現地時間18日には、支部長、医師2人、看護師1人含む6人から成る第1次医療チームが被災地の一つであるジェレミー(Jeremie)へ向け出発。3日間で3カ所を訪れ、診療及び食糧支援も行いました。その後も、食糧がなく、医療を受けられない状況を受け、26日、同支部より第2次医療チームが被災地2カ所で医療及び物資支援を実施。更に、地震発生から1カ月以上経過した9月25日及び10月9日にも、追加で同様に医療と物資の支援を行いました。

 

医療支援活動の様子

一方、AMDAは深刻な被害状況を考慮し、中長期的な支援活動の実施を検討。現地調査のため、森田佳奈子医療調整員を日本からハイチへ派遣しました。8月31日、調整員は現地到着後、支部長と合流し、現地の協力団体らと協議を実施。更に、支部長は被災地の市長と面会し、活動場所の候補地などの調査を行い、その後調整員と今後の支援活動に向けての計画などについて話し合いを重ねました。日本時間9月8日、調整員は無事帰国しました。

AMDA本部は調査結果を基に、同支部や協力者らと協議しながら、実施可能な支援の検討を進めています。
 

【森田 佳奈子 医療調整員(AMDA緊急救援ネットワーク登録メンバー)からのコメント】

水野在ハイチ日本国大使訪問
(写真左よりフレデリック支部長
水野大使 森田調整員)

「2021年8月28日?9月8日、ハイチ地震の緊急から中長期支援に向け現地調査しました。ハイチ政府や国際機関、国内外の関係者との援助調整、実践部隊であるハイチ内務省に設置された防災機関(ProtectionCivile)、輸送機などのロジスティックを担当するWFP、OCHAなどから情報収集を行いました。また、被災地を調査したAMDAハイチ支部長の報告を合わせ今後の活動を立案しました。

ハイチに関しては2010年緊急医療から復興支援、2016年ハリケーン・マシューでの緊急医療やコレラ対策に関わり、また個人としても支援活動を続けています。AMDAの『ローカルイニシアティブ』の理念によりハイチの人々の内発的発展に寄与できれば幸いです」
 

【マック・ケヴン・フレデリックAMDAハイチ支部長からのコメント(訳)】

「今回の地震で非常に多くの町が被災しました。17日、医師や看護師、医学生と運転手と一緒にまずジェレミーに向け出発する予定でしたが、熱帯低気圧『グレース』が被災地付近を通過し大雨に見舞われたため、翌日の18日に出発しました。途中、郊外のプレイザンス・デュ・スッド(Plaisance du Sud)に立ち寄りましたが、人々は食糧や水、避難場所を求めている状況でした。

私たちはそこで負傷者の治療を行いました。その後も2カ所で医療及び物資支援を行い、更に他の町の状況も調査しましたが、多くの人が負傷し、家屋も損壊していますが、支援はまだ届いていませんでした。AMDA本部に報告・相談し、合計4回の緊急支援を行いました。多くの被災者の方々が支援を必要としている状況はとても深刻で悲しいことです。しかしながら、今回支援を受けた方はとても喜ばれ、『戻ってきてね』と言われました。また、この活動に参加したメンバーも非常に満足していました」