AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム概要
◇実施場所: 岡山県、香川県、徳島県、高知県
◇実施期間: 通年実施
◇事業内容:
AMDAでは、発生すれば死者30万人、300万人が被災するとも言われる南海トラフ巨大地震への取り組みとして、「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」を設立。巨大地震が発生した場合に、孤立しやすい四国の徳島県・高知県10か所の避難所にて迅速に支援活動を行えるよう、自治体、医療機関、企業などが一体となり準備を進めている。
連携協定を結ぶ自治体や医療機関、経済団体と緊密に連携し、
・食糧等の事前備蓄
・支援に駆けつける医療機関と支援に入る徳島県・高知県の自治体との事前マッチング、事前交流などを実施。
2019年度は、他団体主催の訓練参加に加え、AMDAの調整員養成の一環として岡山県赤磐市にてAMDAの災害支援活動に関する勉強会を実施した。
【訪問先】
- 日程 訪問先 *敬称略
- 6/05 高知県黒潮町(町役場など)訪問(医薬品の備蓄等協議)
- 6/06 丸亀市役所訪問(担当者ご挨拶)
- 6/07 高知県庁、高知市役所、須崎市役所訪問(備蓄など協議)
- 6/26 陸上自衛隊中部方面総監部訪問
- 7/09 香川県坂出市役所、株式会社幸燿、香川大学訪問
- 7/16 徳島大学環境防災センター訪問
【訓練】
日程 | 訓練名 | 活動内容 |
6/21 | 岡山県総社市訓練 | 総社市のドローン飛行訓練及び救助用ボートによる救出訓練に参加。 |
9/01 | 徳島県総合防災訓練 | AMDA南海トラフ災害対応プラットフォームに参加する公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院、社会医療法人全仁会倉敷平成病院、医療法人伯鳳会はくほう会セントラル病院より合計9人が参加。避難所となった阿南市の小学校、被災病院となった県立海部病院(牟岐町)の2カ所に分かれ、各々訓練に参加した。 |
11/24 | 岡山県総社市防災訓練 | 夜間防災訓練にて、AMDA災害支援活動経験者が講話を実施。 |
11/30 | 徳島県美波町防災訓練 | 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院、独立行政法人国立病院機構福山医療センターより合計6人が美波病院内の訓練に参加。 |
【事前交流】
日程 | 訪問者 | 活動内容 |
6/27 | 社会福祉法人旭川荘 | 須崎市(市役所、須崎くろしお病院、多ノ郷小学)を訪問。 |
7/19 | さめじま病院 | 高知大学医学部及び須崎市(市役所、須崎くろしお病院、多ノ郷小学校)を訪問。 |
【勉強会など】
日程 | 名称 | 活動内容 |
6/25 6/30 |
AMDA災害対応勉強会 | 「今後の災害対応」を目的に、赤磐市役所にて赤磐市内の防災士を対象に開催。 |
第6回AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム調整会議
◇開催場所: 岡山国際交流センター(岡山市北区)
◇開催日: 2019年7月28日
◇主な参加者・団体: 片岡聡一・総社市長、友實武則・赤磐市長、中四国の自治体職員、医療機関関係者、企業関係者など
◇参加者: 185人
◇事業内容:
2015年以降毎年実施している本会議を、今年度も開催した。 議長団である総社市、丸亀市、赤磐市と岡山経済同友会の各代表並びに菅波AMDA理事長の挨拶に続き、2018年7月に西日本豪雨により浸水被害を受けた「まび記念病院」(倉敷市真備町)の村松友義院長が「西日本豪雨災害の教訓と今後の方針」と題して講演。当時の被害状況、そして現在に至る復興の過程についての説明に、参加者も耳を傾けた。
その後、「南海トラフ災害対応プラットフォーム」の活動報告として、新たに災害連携協定を締結した熊本県益城町を始めとする9団体のご紹介、社会法人旭川荘ならびにさめじま病院が活動予定地である高知県須崎市を訪問した事前交流や徳島県内の訓練、そして6月に岡山県赤磐市在住の防災士を対象に実施した「AMDA災害対応勉強会」等の発表を行った。
そして2018年11月に開催した第5回調整会議にて菅波代表より発表した「AMDA災害医療機動チーム構想」について、本会議にて発足宣言を行った。本会議開催時に参加を表明いただいた16の団体、企業をご紹介した。
第6回AMDA災害鍼灸チーム育成プログラム
◇開催場所: 朝日医療大学校(岡山市北区)
◇開催日: 2019年7月27日~7月28日
◇講師(出演順): 菅波茂/AMDA理事長、今井賢治/帝京平成大学教授・AMDA災害鍼灸ネットワーク代表世話人、 吉井治/AMDA熊本鍼灸チーム、佐藤拓史/東亜大学教授・AMDA理事、山口大輔/朝日医療大学校副学校長、小西恵一郎/国際医療技術財団理事長、内田輝和/岡山県鍼灸師会会長、松浦浩市/全日本鍼灸マッサージ師会、北小路博司/宝塚医療大学教授
◇受講者数: 58人
◇受講者の声:
「自分はまだ学生だが、緊急支援活動に積極的に参加したい。」(10代女性)
「各先生の災害に対しての思いが凄くて感動しました。」(30代女性)
「現在、鍼灸学校には災害鍼灸を学ぶカリキュラムはないが、学生にも教えていきたい。」(40代男性)
◇事業内容:
被災地で活動する鍼灸師を育成する、第6回AMDA災害鍼灸チーム育成プログラムを2日間にわたり開催し、全国から58人の鍼灸師や学生が参加。過去のAMDA災害鍼灸活動に参加した鍼灸師より、災害時の鍼灸活動の経験や課題を共有した。
初日は、菅波茂AMDA理事長より自身の災害鍼灸に対する考えや思いを語り、AMDA災害鍼灸ネットワーク代表世話人で帝京平成大学教授の今井賢治鍼灸師からは東日本大震災より始まったAMDA災害鍼灸の概要について説明があった。また、AMDA熊本鍼灸チームの吉井治鍼灸師からは熊本地震、朝日医療大学校副学校長の山口大輔鍼灸師からは西日本豪雨災害での災害鍼灸の経験が共有され、多種多様な業種の中で「違う業種が何をするのか理解することが災害活動で大事」との話があった。またAMDA理事で東亜大学教授の佐藤拓史医師より、地震の参加した熊本地震での経験を基に、医師の視点から見た災害鍼灸の有用な点について話がされた。
2日目は、山口鍼灸師より1月19日に徳島県で開催された全日本病院協会主催の災害訓練に、AMDAの調整員として参加した時の報告があり、「専門職が活躍するためには調整員・調整業務が必要」と語った。参加者からも積極的な発言があり、鍼灸師が医療調整員として現場に入ることの重要性を参加者と共に話し合った。続いて、今井鍼灸師をファシリテーター、宝塚医療大学教授の北小路博司鍼灸師を指定発言として、「AMDA鍼灸活動における連携協定の可能性と課題」のテーマで、国際医療技術財団の小西惠一郎理事長、岡山県鍼灸師会の内田輝和会長、全日本鍼灸マッサージ師会の松浦浩市鍼灸師、AMDAの菅波茂理事長らが、シンポジウム形式のディスカッションを行った。鍼灸師が急性期から災害支援に関わって欲しいことや、災害支援においてまだ鍼灸の認知が低いことについて触れ、鍼灸の有用性をもっと一般までを広げていく必要があることなどを話した。参加者からも、それぞれの災害鍼灸の経験が共有されるなど、盛んに意見が飛び交った。