AMDAを支えてくださっている支援者の皆様に、インタビュー形式で様々なエピソードをお伺いしている「支える喜び」シリーズ。19回目となる今回は、AMDAバングラデシュ支部の事務局長として、イスラム系少数民族・ロヒンギャ難民の支援にご尽力されたラザック様にお話を伺いました。
(聞き手・プロジェクトオフィサー 橋本千明)
AMDA
ロヒンギャ難民は2017年8月以降、ミャンマーから隣国のバングラデシュに大量流入しました。難民キャンプで過酷な生活を送る方々を支えて頂き、ありがとうございます。
ラザック
難民が国境を越えて移動している状況は、人道的に見て本当に危機的な状況です。難民キャンプのあるコックスバザール県にたどり着くために、ナフ川(平均水深39m)を渡ってきたのです
AMDA
難民の生活は如何でしょうか。
ラザック
家族との別離、故郷を追いやられた体験の苦しみ、トラウマを抱え、平常心を失っていることが明らかに見て取れます。これらの出来事は子どもたちの幸福な暮らしを脅かし、心身の成長に悪影響を及ぼしています。子どもたちを保護する施策が急がれます。このためには関連諸機関の援助や支援活動の規模拡大、支援委託組織の存在が必要なのです。
AMDA
キャンプ外で暮らす難民も増え続けていると聞いています。
ラザック
2018年4月中旬の時点で、9カ所の難民キャンプと居住地域で生活する難民は78万1,000人でした。加えてキャンプ外部の周辺地域で暮らしている難民は11万7,000人います。
AMDA
食糧事情や衛生環境は大丈夫でしょうか。
ラザック
バングラデシュ内で最大規模の難民キャンプの一つであるクトゥパロンでは50万人以上が居住しています。主な懸案事項と言えば、やはり水と公衆衛生です。食糧の供給はおおよそ十分ですが、難民の大多数は生計を支えるための仕事がなく、雇用の機会提供が最大の課題と私たちは考えています。
AMDA
AMDAバングラデシュ支部の支援内容を教えてください。
ラザック
今回のプロジェクトは、日本バングラデシュ友好病院が主体となって行われた合同診療所です。医療チームは医師2人、薬剤担当1人、助産師1人、調整員2人、医療アシスタント3人で構成。通常の診察から医薬品の投与、妊産婦のカウンセリングなどを行っています。これまでに診察した患者数は3万8,438人です。AMDA本部の皆さんには、難民に対する直接的なご支援とご尽カを頂き、大変感謝しています。
AMDA
ボランティアも活躍されていると聞きました。
ラザック
バングラデシュ政府の取り組みに対し、国内外の人道支援組織が迅速に支援を申し出ました。その数は45団体。当局の許可を待っている団体も10を数えます。さらに最前線で頑張っているのが地元コミュニティーの方々です。到着する難民に食べ物や基本物資を提供しています。
AMDA
早く難民問題が解決すると良いですね。
ラザック
今回の人道危機について、国連は「世界において最も差し迫った難民危機である」としています。バングラデシュはロヒンギャの人々に対し同情の念を寄せています。国境を開放するなど国際社会の支援を得てオープンに対応してきました。難民には様々な制限も課せられていますが、彼らは決して逆境には負けないと確信しています。
(文中の敬称は省略させて頂きました)
ハキム・アリフ医師(ダッカ大学コミュニケーション障害学部教授)
今年AMDAとバングラデシュ・ダウン症協会とダッカ大学コミュニケーション障害学部は、コミュニケーションに障がいを抱える子ども達を支援する為の覚書を交わしました。彼らの人権を守り、研究や文化交流を推進していきます。双方による今後の協力を期待しています。