熊本地震から2年 復興へ正念場迎えた益城町(2018/06発行ダイジェストNo.50) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

熊本地震から2年 復興へ正念場迎えた益城町(2018/06発行ダイジェストNo.50)

GPSP支援局長 難波 妙


益城町役場で活動する熊本鍼灸チーム

2016年4月14日、16日に震度7の地震に2度も見舞われた熊本県。関連死を含めるとその犠牲者は250人を超えました。

震源地となった益城町では現在、役場も、総合体育館も取り壊され、更地となりました。地震で倒壊した家屋の瓦礫はすべて撤去され、町全体が広くなったように感じます。未だ仮設住宅には4,000名以上が暮らしています。仮設住宅から出る人もいれば、残らざるを得ない人もいます。復旧から復興に向かう過渡期、ある意味正念場を迎えています。

AMDAの緊急医療支援活動の拠点となった益城町立広安小学校は、地震の被害を受けた施設の修理が7月末で終了し、2学期から地震の前と同じ教育環境に戻ることができるそうです。児童は元気に運動場を駆け回っています。児童数も少しずつ震災前に戻ってきました。しかしこの中には、仮設住宅から通っている子どももいます。すべての子どもが明日の益城町を創る宝です。一歩ずつですが、着実に復興に向かう益城町を応援していきたいと思います。

これまでAMDAの活動を支えてくださった皆様に改めて心より感謝申し上げます。

益城町役場職員に鍼灸治療

物理的環境は整備が進んでも、被災した方々の心が復興のスピードに追い付いていけるかどうかは別問題です。AMDAは、災害鍼灸活動として、2017年7月より月に2回、「支える人を支える」ことを目的として、益城町の復興に携わる益城町役場職員に対しての鍼治療を行っています。現在は、益城町役場の会議室で毎月第2、第3木曜日の午後、1日当たり15名を熊本の鍼灸師4名が心を添えながらマッサージや鍼治療を提供しています。この事業は、産業医、保健師、医療関係者による益城町安全衛生委員会とも協力し、鍼灸治療の結果を共有して包括的な健康支援を目指しています。

事業開始当初は、疲労度が高い人が多かったものの、少しずつ緩和されているようです。しかしながら、治療を受けた人の中には、他県から単身赴任で支援に入られている方も含め、肩こりや腰痛はもちろん、ご自身の身体の疲れに自覚がない方や睡眠障害のある方などもいらっしゃいます。受けられた後、「鍼で身体が軽くなった。痛みが取れた」、「施術を受けた日はよく眠れた」等の感想をいただいています。

熊本鍼灸チームは、益城町職員の方々と向き合う一度一度の施術が、益城町復興の一助になり、震災前よりも良い町になることを願ってこの活動を行っています。