2014年度年次報告 復興支援活動(2015/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2014年度年次報告 復興支援活動(2015/7発行)

フィリピン・ボホール島地震復興支援活動


寄贈した医療機器とともに

◇実施場所 フィリピン・ボホール島 マリボホック地区
◇実施期間 2013年11月11日〜現在
◇派遣者 山希 看護師 AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者1人および現地協力団体メンバーなど(のべ45名)
◇受益者数 約6,100人

◇事業内容
2013年10月15日、フィリピン・ボホール島のカルメンを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。この地震による被害は、死者215名、負傷者760名、建物被害は全半壊合わせて約58,000棟にのぼり、被災者は、約332万名、約67万世帯となった。

AMDAでは22日から医療チームを派遣し、医療支援活動を実施。さらに2013年11月、12月には復興支援活動として支援物資の提供などを行った。

マリボホック町では、学校や保健施設などの公共施設を含む多くの建物が被害を受けた。政府からの支援は、ほとんど届かないのが現状で、各地方自治体・有志・個人レベルで、必死に再建に取り組んでいる状態が確認できたことから、地震による建物の倒壊で、保健施設がなくなってしまった地域で、地域住民の第一次医療を担う施設としての「ヘルスステーション」の建設を決定。地震によって倒壊した場所から安全が確認できた場所に建設地を移し、トイレなどを備えたコンクリート造りの平屋の建物を建設中である。

さらに、このヘルスステーションに設置する医療機器が不足していたことから、血圧計、体重計、血糖測定器、吸入器の提供も行うことができた。

◇現地協力機関
フィリピン海軍予備隊The Naval Reserve Command (NAVRESCOM)
フィリピン海軍東ビサヤ予備隊The Naval Force Eastern Visayas Reserve (NFEVR)、マリボホック町

ハイチ大地震復興支援活動


歯科医療の様子

◇実施場所 ハイチ共和国 フォン・デ・ネグル軍病院
◇実施期間 2015年1月31日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
AMDAハイチ支部、フォンデネグ市の救世軍病院(計7名)
◇受益者数 57人

◇事業内容
2010年1月に発生したハイチ大地震に対して、AMDAは3か月にわたり緊急医療支援活動を実施した。その後復興支援事業として、AMDAハイチ支部を中心に支援活動を継続している。

2015年1月31日、フォンデネグ市の救世軍病院を会場に無料歯科診療を実施した。フォン・デ・ネグル地区周辺の6か所から集まった57人を診療することができた。歯科検診、歯のクリーニング、歯科治療等を実施。活動中、歯科診療の重要性と必要性についても説明した。

なお、ハイチ大地震の復興支援事業として、2011年からこれまでに義肢支援事業やスポーツ交流事業のほか裨益者を対象とした交流会をなどを行っている。さらに2012年からは、年に1回ミラグワン郡フォンデネグ市の救世軍病院(Salvation Army Hospital)でAMDAハイチ支部が無料歯科診療を実施している。

◇受益者の声
「これからもこのような活動を継続し、多くの地域に広めていって欲しい。特に僻地で歯科医院のない場所や通院困難な場所において実施し、各自歯の状態を自己診断できるようになって欲しい。」「去年も診てもらって、とても良い活動だと知っています。年に3回くらいあるともっとありがたいです。」

◇現地協力機関
AMDAハイチ支部
フォンデネグ市の救世軍病院(Salvation Army Hospital)

東日本大震災復興支援


子育てサロン参加者の皆さんと

◇実施場所 岩手県上閉伊郡大槌町、岩手県釜石市、宮城県気仙沼市、宮城県本吉郡南三陸町、宮城県石巻市雄勝町、宮城県仙台市、福島県南相馬市ほか
◇実施期間 2011年3月12日〜現在継続中
◇派遣者(2014.4.1〜2015.3.31)
AMDA本部職員含むのべ134名ほか、現地雇用4名(計138名)
◇受益者数 18,219人

◇事業内容
2011年3月11日に発生した東日本大震災の翌日から緊急医療支援活動を実施し、4月末まで医療だけでなく多岐にわたった活動を実施した。2011年5月からは「第1次3カ年復興支援」として「医療・健康支援」「教育支援」「生活・自立支援」の3つの分野を柱として活動を継続している。2014年4月からは「第2次3か年復興支援」被災地に残る形での支援活動を継続している。


第2回災害鍼灸チーム養成講座の様子

医療・健康支援

岩手県大槌町上閉伊郡にAMDA健康サポートセンターを設置し、心身の健康支援をテーマにコミュニティースペースの開放や鍼灸治療を実施している。

コミュニティースペースでは、妊婦や子育て中の母親を対象とした交流サロンや男性を対象とした料理教室、そのほかにも体操教室やボクシングを取入れたエクササイズ教室など住民のニーズに応えた様々なプログラムを提供している。

さらに、鍼灸治療では身体のケアに加え、患者の話を傾聴することで心身ともにケアすることにつながっている。
また、9月6、7日の2日間に渡り、第2回災害鍼灸チーム育成プログラムを実施。このプログラムは今後起こりうる災害に備えて災害鍼灸チームの育成を目的とし、今回は全国から15名が参加した。参加者は、被災した当時の状況や活動について、また鍼灸の学術的な効果や必要性について、AMDAの医療チームと活動を共にした地元の医師や鍼灸師、またAMDAの医療チームとして活動した鍼灸師らなどから、それぞれ講義を受けた。実際の患者からも、当時の様子と訪問鍼灸の効果について直接話を聞くことができた。

教育支援

これまでに引き続きAMDA東日本国際奨学金の支給を継続。岩手県立釜石高等学校、岩手県立釜石商工高等学校、岩手県立大槌高等学校、宮城県立志津川高等学校、宮城県気仙沼高等学校、仙台医健専門学校、岩手県立大船渡高等学校、東北朝鮮初中級学校の8校に在学する、将来医療従事者を目指す、各学校長の推薦を受けて選定された学生を対象に支給した。2014年度は28人へ奨学金の支給を行った。これまでののべ裨益者数は281人となった。

その他にも学生の被災地でのボランティア活動の受け入れ、調整なども行った。

生活・自立支援

被災地の仮設商店街を中心とした被災地間を結ぶ事業として、「復興グルメF1大会」を2013年1月から継続している。本年は宮城県宮城郡七ヶ浜町、岩手県陸前高田市、福島県相馬市の3か所で開催された。また2015年2月には被災地間交流フォーラムが開催され、今後起こりうる「南海トラフ地震」に備えて、東日本大震災の被災地の仮設商店街の方、また南海トラフ地震で被災が予想される地域の自治体の方が一堂に会し、経験や知恵を共有し、将来に備えた具体的なディスカッションを行った。

その他にも、震災ホームレスを対象とした食糧支援をNPO法人仙台夜まわりグループとともに実施した。

◇受益者の声
震災を経験してから、より看護師になる夢を強く持ちました。皆さんの力を借りて、私も自分の夢をかなえて、人の為になる仕事をしたいです。(AMDA東日本国際奨学金 奨学生)
子育ての悩みなどを気軽に相談できる場がなくて、本当に住みにくいと感じることも多いので、このような企画があると本当にうれしいです。(大槌健康サポートセンター利用者)
大会そのものの開催以上に、それぞれの地域を超えて、この大会を通じて多くの方と交流ができ、地元のことを発信できることが何よりもうれしいです。(復興グルメF-1大会出店者)

フィリピン台風30号復興支援活動


無料巡回診療の様子

◇実施場所 フィリピン・レイテ島タクロバン市ほか
◇実施期間 2014年1月1日〜現在
◇派遣者 岩本智子 看護師(米国ライセンス) AMDA本部職員、
山希 看護師 AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者2人および現地協力団体メンバーほか(計410人)
◇受益者数 10,454人

◇事業内容
2013年11月8日、フィリピン南部の島々に上陸した台風30号により、死者6,183人、行方不明者1,785人となる大きな被害が発生した。AMDAでは、緊急医療支援活動を2013年11月10日から実施し、2013年12月末までに、8か国、のべ25人のスタッフを被災地に派遣。レイテ島、サマール島ほか6島で医療支援活動を中心とした様々な活動を実施した。2014年1月からは復興支援活動として、被災地の協力機関と連携しながら、支援活動を継続している。

医療支援活動

レイテ医師会と合同で、2014年3月から10月まで、1ヶ月に1度の無料巡回診療を実施。半年間でのべ3,605人の患者への対応ができた。成人では高血圧、上気道感染、小児では上気道感染や栄養不足などが多くみられた。そこで巡回診療に合わせて、衛生指導や石鹸、歯ブラシなどの衛生用品の配布なども行った。また、栄養指導も併せて実施し、医療を中心とした幅広い支援を実施することができた。その他にも、台湾のNGOとの医療支援活動にも参加した。

同世代交流事業、文具支援

AMDAの提案により、広島県教育委員会から、広島県内の高校に呼びかけを行い、広島県内33校が募金活動に協力した。さらに、生徒の代表者が被災地を訪問し、募金活動で集まった寄付金で、文具などの支援物資を購入し、被災地タクロバン市内の高校生へ直接手渡しするとともに、「私たちは忘れていない」というメッセージを届けた。学生の帰国後は、地元団体の協力を得て、幼稚園や小中学校の子どもたちへ文具の配布を実施することができた。

アルファ米配布

パナイ島、レイテ島などで、地元団体の協力のもとアルファ米を全3,300食配布した。

慰霊式典と食糧支援活動

災害発生から1年の節目に、レイテ島タクロバン市で開催された慰霊式典に参加。その他にも食糧パックを支援物資として被災した109世帯に個別配布を行った。


再建されたレイテ医師会館の外観

レイテ医師会会館拠点再建

地域のヘルスプロモーションの拠点、災害時における支援活動拠点という意味を込めて、日本医師会、福山市医師会、AMDAとの合同復興支援事業として、台風により倒壊したレイテ医師会会館再建を行った。2014年11月にくわ入れ式を行い、2015年3月には完成を迎えた。今後、本施設は医療従事者への継続教育、住民への衛生指導、無料診療などに活用される予定である。

◇受益者の声
本当に嬉しい。未だに支援を続けてくれてありがとう。

◇現地協力機関
イロイロ市ライオンアズクラブ、AFP(フィリピン軍)、レイテ医師会、元レイテ州 州知事、タクロバン市市議、DAP(フィリピン開発アカデミー)