インド・パキスタン 洪水被害者に対する緊急医療支援活動(2014/10発行ジャーナル10月秋号掲載) – AMDA(アムダ)
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特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インド・パキスタン 洪水被害者に対する緊急医療支援活動(2014/10発行ジャーナル10月秋号掲載)

インド・パキスタン 洪水被害者に対する緊急医療支援活動

9月4日から7日にかけてインド、パキスタン北部の国境付近カシミール地方で、モンスーンの豪雨による大規模な洪水が発生した。インド北部からパキスタンに流れているジェルム川では堤防が決壊し、道路や建物が次々と浸水、ダムが崩壊するなど大きな被害が出ました。この洪水によりパキスタンでは、死者312人、負傷者540人、200万人以上が被災し、(パキスタン環境省自然災害管理庁 9月15日発表)インドでは死者295人、約240万人が被災しました。(インド内務省災害管理局9月15日発表)
この状況を受け、AMDAではパキスタン、インドの両国で医療支援活動の実施を決定。それぞれの国のパートナー団体とともに支援活動にあたりました。

パキスタン


パキスタンの巡回診療の様子

9月9日から現地協力団体NRSPによる現地のニーズ調査と支援活動の準備がスタートしました。17日には、AMDA看護師1名が日本を出発し、NRSPチームと合流し、情報共有などを行い、活動内容について打ち合わせを重ねました。
パキスタン北部を流れるジェラム川とチェナッブ川の2本の川が氾濫したため、洪水被災地は広域にわたり、さらに被災地域が徐々に上流域から下流域に移動していました。

9月20日、21日には、プンジャッブ州ハフィザバッド県ジャランプールバティアン郡チャックバティ町ナロワール村、チニョット県サンバル郡でのNRSPの無料巡回診療に合流し、医療支援活動を実施しました。もともと、医師が少ない地域であるため、医療ニーズが非常に高く、多くの患者が列を作り、2日間の活動を通してのべ710人を診療することができました。。洪水後に乾燥した砂が舞う状況があるため上気道感染症の症状を訴える人が多数おり、小児患者では下痢の症状を訴えるケースもみられました。
いずれの地域も、収穫直前であった農作物が浸水しており、家畜の餌も洪水の被害にあっていました。レンガ造りの家の多くは損傷しており、泥造りの家は、ほとんどの家屋が全壊しており、被災者は今後の生活再建に大きな不安を感じていました。そこで、AMDAはテントとして使用できるブルーシートと医薬品に対して支援を実施。さらに、継続的な医療支援活動を行うため10月6日から、医療スタッフの2次派遣を行っています。

インド


インドの巡回診療の様子

インドでの活動はインド、ナグプールを拠点とするパンニャ・メッタ・サンガ、天台宗一隅を照らす運動総本部、AMDAの3者合同での支援活動として実施しました。
9月25日に日本を出発し、インド、デリーに到着したAMDA看護師は、同団体関係者と合流し、スリナガルへ移動し、地元NGOカシミール福祉センターの協力を得て、支援活動を開始しました。
被害の大きかったパタン町、ゴプラン村の視察では、学校も被災しており、再開の目途もたっていませんでした。舟も織り機も被害を受け、収入を得る手段を失ってしまった被災者も多くみられました。そこで、被災者へ25枚の毛布を届けました。
28日には、ゴプラン村で訪問診療を実施。主な症状は呼吸器感染症で、高齢者の中には、長時間水に浸かっていたため身体の痛みを訴える方が多くいました。活動は地元医師に継続してもらい、さらに残った医薬品は被災者のために使ってもらえるよう、パタン町病院の医師に寄贈しました。さらに追加で被災者に83枚の毛布を配布することができました。残った77枚の毛布と医薬品は、パタン町役場に寄贈し、これらは、ジャマルムリ村、マンディルジャリ村、マティペラ村 ,タンタロイ・ペラ村の4つの村のために役立てられる予定です。役場課長からは、今回の支援に対し、パンニャ・メッタ・サンガ、カシミール福祉センター、AMDAそれぞれに感謝の言葉が贈られました。
【派遣者一覧】
岩本智子/AMDA職員/看護師(米)
山 希/AMDA職員/看護師