ネパール・インド洪水緊急医療支援活動 (2008/11発行ジャーナル11月秋号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール・インド洪水緊急医療支援活動 (2008/11発行ジャーナル11月秋号掲載)

ネパール・インド洪水緊急医療支援活動

 8月中旬から続いたモンスーンの影響で、インド・ネパールの国境地域で河川が氾濫し、8月18日にコシ川のダムが決壊。インドのビハール州とネパールのスンサリ郡・サプタリ郡で大洪水が発生しました。インド政府の発表によると、ビハール州では9月17日までに死者が208人、100万人以上が現在も避難しています。ネパールでも政府発表によると7万人が被災しました。

インド・ビハール州での緊急医療支援活動


カタハラキャンプでの巡回診療
(インド・ビハール州アラリア県)

多くの避難民が診察を希望
(インド・ビハール州アラリア県)

 AMDAは9月8日から9月21日までの2週間、ビハール州に緊急医療支援チームを派遣し、アラリア県とスパウル県の避難所16ヵ所での巡回診療とアラリア県のプライマリーヘルスセンター(PHC)での診療を行いました。

 AMDA本部から藤本明子調整員、AMDAネパール支部の医師2人、AMDAインド支部/マニパール大学の医師5人・看護師1人・薬剤師1人の合計10人でチームを編成しました。診療人数は、PHCで311人、巡回診療で2,267人。主な症状は、皮膚疾患、下痢、耳の感染症、呼吸器感染症、心理的不安(うつ)でした。ビハール州は最貧州であり、多くの患者が初めて医師の診療を受けました。AMDAネパール支部から派遣されたラジェンドラ医師は活動を終えて、「ビハール州で過ごした10日間、人々を癒し、患者と気持ちを分かち合った。大変痛ましい人生がそこにあった」と語っています。

 

ネパール・スンサリ郡、カイラリ郡での緊急医療支援活動


AMDAネパール支部は避難キャンプの
保健医療を担当、巡回診療も実施
(ネパール・スンサリ郡)

AMDA仮設診療所を訪れた、
ラム・バラン・ヤダブ大統領
(ネパール・スンサリ郡)

 AMDAネパール支部は8月21日から9月16日まで、スンサリ郡から150km離れたジャパ郡にあるAMDA病院から、医師・緊急救命士・調整員など合計36人を交替で派遣しました。3,500人が生活する避難キャンプに仮設診療所を開設して、1,813人の患者を診療しました。15歳以下が約44%を占め、主な症例は、外傷の他、関節・脚の痛み、感冒、急性咽頭炎、気管支炎、肺炎、下痢でした。

 8月25日にはラム・バラン・ヤダブ大統領が、避難所内のAMDA仮設診療所を訪れ、「AMDAの緊急医療支援活動に感謝する」と述べられました。
また、9月19日に降雨による洪水と地滑りが、同国中部・最西部で発生しました。26日から10月1日まで、AMDAネパール支部はネパール子ども病院から、被害が甚大だったカイラリ県に緊急医療チームを派遣し、同県中心部から車で3時間の僻地で診療活動を行いました。