ベトナム新プロジェクト(2007/1発行ジャーナル1月号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ベトナム新プロジェクト(2007/1発行ジャーナル1月号掲載)

ベトナム円借款「貧困地域小規模インフラ整備事業」におけるJBIC「NGO連携基金」を活用したプロジェクト

 AMDAは、標記円借款事業の枠組みの中で実施される「NGO連携基金」からの資金を取得し、ベトナム社会主義共和国バッカン省パクナム郡の郡立病院への支援を開始しました。 
2006年11月1日から1年間に渡り、パクナム郡立病院の手術室の機能強化(麻酔器、酸素吸入器など、医療機材の供与)を行います。

同郡立病院は、施設や医療機材が整備されていないため、地域の拠点病院として十分に機能できない状況が続いています。そのため、入院患者の約6割は遠方 に位置する、より高度な医療を受けられる施設まで搬送せざるを得ない状況です。しかし、搬送には平均年収の半分近い費用がかかるともに、悪路を車輌で約3 時間移動する必要があるため、患者とその家族は、経済的・身体的負担を強いられています。このような状況のもと、本基金を活用して医療機材を供与すること により、同郡立病院が地域拠点としての役割を果たすことが可能となり、郡全体の保健医療サービス向上が期待されます。
AMDAは、2005年10月からパクナム郡において、地域住民(特に母子)の健康維持・促進を目的とした長期プロジェクトを展開しています。具体的に は、郡、省立レベルの病院への医療機材供与の他、保健医療スタッフへの小児疾病包括管理(IMCI)研修、女性クラブによる地域保健活動、学校保健活動推 進を支援しています。本基金による資金を活用することにより、当該プロジェクトをさらに拡大実施することが可能となります。
一方、国際協力銀行(JBIC)が行っている、道路・灌漑といった小規模なインフラ整備を行う標記円借款事業にとっても、AMDAのプロジェクトと当該 円借款事業を連携させることにより、インフラ整備を活用した医療サービスの向上(病院へのアクセス改善等)が期待できます。
さらに、2006年3月に供与されたベトナム円借款事業「地方医療病院開発事業」では、中央総合病院の機材の充実を支援しています。当該円借款事業と AMDAの活動との連携により、郡立病院の設備等を整えることにより、病気の程度に応じて患者を移送(郡立病院⇒省立病院⇒中央総合病院)する体制を、一 貫して支援することが可能となります。
このように、AMDAと国際協力銀行が連携することにより、それぞれの活動を有機的に発展させることを目指しています。

JBIC「NGO連携基金」とは?
本基金は、ベトナムに対する円借款「貧困地域小規模インフラ整備事業」(2003年3月にベトナム政府と国際協力銀行(JBIC)が借款契約を調印)の 一部を利用して設立されるもの。日本や海外を拠点とするNGOの活動を支援し、円借款事業との連携を促進する目的で導入したスキーム。特に都市部と農村部 の格差是正、貧困削減を目的とした事業を実施。本年度が初の試み。  AMDAは、ベトナム国で契約締結にいたった二つのNGOの一つ。

パクナム郡病院

パクナム郡の風景

旧パクナム郡ヘルスセンター

旧パクナム郡ヘルスセンター内入院患者施設