副理事長 難波 妙

2024 年元日に発生した能登半島地震と、その後の豪雨により、石川県輪島市は甚大な被害を受けました。AMDAは今年 3 月下旬に現地を訪問し、復興の歩みと地域の現状について、市の中心部で『ごちゃまるクリニック』を運営する小浦友行医師にお話を伺いました。
火災で焼失した輪島朝市の跡地は更地となり、市内には3,000 棟以上の仮設・応急住宅が整備されています。しかし、人口減少が進み、学校施設への被害や児童・生徒の転出による学校再編など、地域社会には今も深刻な課題が残っています。地震で損傷した校舎やグラウンドの地盤崩落といったインフラ面への影響も大きく、長期的な視点での地域再建が求められています。
そうした中、AMDA は、地震と洪水という二重の災害に見舞われた同クリニックに対し、エコーや吸引機、輸液ポンプなどの医療機器を寄付しました。 震災から 1 年半、地域の方々とともに困難を乗り越えてこられた同クリニックが、6 月 30 日に外来診療を本格的に再開しました。住民の方々は、通い慣れたクリニックの再始動を待ちわびていたと思います。

さらに、小浦医師は、隣接する被災民家を一般社団法人『ごちゃらあと』として再生し、地域文化の拠点づくりにも取り組んでいます。近所の人たちが気軽に立ち寄れる、かつての「ふるさと」を感じられる居場所として、地域に新たなつながりが生まれています。
「奥能登プライマリ・ケアの最前線として、誇りを持って診療と地域ケアに励んで参ります」と語る小浦医師の言葉には、地域医療を支え続ける深く暖かな想いが伝わってきます。AMDA は今後も、輪島の復興を後押ししていきます。