ネパール大震災から 10 年、未来への一歩: ベタンチョーク村での医療支援と防災啓発活動(2025/7発行ジャーナル夏号) – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール大震災から 10 年、未来への一歩: ベタンチョーク村での医療支援と防災啓発活動(2025/7発行ジャーナル夏号)

ネパール事業担当 あるちゃな ジョシ

 2015 年 4 月 25 日に発生したネパール大地震から 10 年を迎え、AMDA ネパール支部は現地協力団体『ロータスネパール』と連携し、ベタンチョーク村で医療支援と防災啓発を目的としたイベントを実施しました。村は山間部に位置し、豪雨や地滑りなど災害リスクが高く、2024年にも大雨による被害が発生しています。そのため、防災意識の向上と医療アクセスの改善が急務とされていました。

 イベントは防災セミナーとヘルスキャンプの 2 部構成で行われ、自治体職員や医療スタッフ、地域ボランティアが参加しました。防災セミナーでは地震・洪水・地滑りへの備えや避難行動、応急手当の方法が紹介され、参加者には実用的な資料が配布されました。「災害時の行動が分かり安心した」と安堵の声が聞かれました。

 ヘルスキャンプでは、合計 79 人(男性 41 人、女性 38 人)が一般健診および婦人科健診を受診しました。健診の結果、尿路感染症、胆石、慢性炎症などの疾患が複数名に確認されました。特に婦人科健診では、1 名の女性に子宮頸がんの陽性反応が見られ、精密検査が必要と判断されました。

 経済的理由や距離の問題で受診が難しい人も多く、参加者からは、「専門的な診療を受けられて心強かった」といった感謝の声が寄せられました。必要な患者には、この村から一番近い、バネパ市の病院が今後の支援を行う予定です。

 本活動は震災から 10 年の節目にあたり、今後の地域支援と防災体制構築への第一歩となりました。AMDA ネパール支部は今後も地域と連携し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指します。尚、この事業は、フェリシモ基金様からの助成を受けています。