ウクライナ人道危機から 3 年(2025/4発行ジャーナル春号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ウクライナ人道危機から 3 年(2025/4発行ジャーナル春号)

ウクライナ担当 岩尾 智子

メドスポットの巡回診療

 2022 年 2 月 24 日、ウクライナで人道危機が勃発し、自身と家族の身の安全のため、多くの人が慣れ親しんだふるさとを離れ、戦闘地域から離れた場所に避難しました。あれから 3 年、海外に避難した人の中にはウクライナに戻ってきた人もいます。しかし、戦線に近いウクライナ南部・東部から比較的安全な西部に避難した人の多くは地元に帰っていません。一方、危険を承知の上で、「地元を離れたくない」「身体的な理由から残らざるを得ない」「地域の人たちを支えたい」など、様々な理由で地元に残る決断をした人もいます。

セントミッシェル小児総合リハビリセンターのクリスマス会

 AMDA はこの 3 年間、現地協力団体と一緒に、ウクライナの隣国ハンガリーに逃れた避難者、ウクライナ西部に避難してきた人、東部に残った人に対し、それぞれの状況に応じた支援を行ってきました。これまで AMDA が支援を行ったウクライナ内外に暮らす避難者は、のべ約 30,000 人に上ります。(2024 年 12 月時点)

支援物資の医薬品(ダイナスティメディカルセンター)

 現在、AMDA は、避難者に加えて、経済的に困窮している人、および医療機関・団体、避難者を受け入れているコミュニティーへ、医療、食糧、物資を中心に、ウクライナ国内における支援を継続しています。

 危機が勃発してから 3 年が経過し、避難生活が長期化する中、継続的な支援の重要性が増しています。2022 年より避難所をまわり、1 ヶ月に 1 度の定期診療を続けている協力団体の医師から、「定期診療を通じて避難者との信頼関係が築けているからこそ、患者は表面的な身体の不調だけでなく、心の不調も訴えてくれる」と伺いました。同様に、戦線から近い東部ハルキウにある現地協力医療機関からは、「危機勃発以前から地元の住民に親しまれている医療機関が、閉鎖することなく、住民の健康を守ることで、地域の人々の精神的な支えにもなっている」と報告がありました。

City of Goodness の小児ホスピス

 AMDA は一日も早くこの危機が終結し、ウクライナの人々が安心して暮らせる日常が戻ることを願い、現地協力団体とともに支援を継続していきます。