インドネシア・AMDAマリノ農場からの便り – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インドネシア・AMDAマリノ農場からの便り


インドネシア南スラウェシ州ゴワ県マリノ村にあるAMDAマリノ農場では、コロナ禍における農作物栽培が二年目に入りました。新型コロナウィルスの大規模な感染拡大が連日報じられているインドネシアですが、マリノ農場では予てから生産と販路拡大に努めてきた伝統的な赤米の流通が軌道に乗り始めています。今年度は複数の農家が有機農業事業に新規参入する予定です。今回の報告では、日頃より支援して下さっている日本の皆さまのご寄付がどのような形で活用されているのか、その一端を紹介したいと思います。

【肥沃な土壌を育む自家製もみ殻燻炭】


炉でもみ殻を焼いているところ

天然由来の肥料や除虫剤等の農業資材は有機栽培に欠かせません。マリノ農場の場合、特に重要となるのが、良質の土壌を育む為に田畑に撒く「もみ殻燻炭」です。もみ殻燻炭は、作物を植え付ける際、土に混ぜることによって植物の育成を促進させる効果があります。日本ではホームセンターなどで購入可能ですが、マリノ農場では農家がこれを手作りしています。もみ殻燻炭を作るには、もみ殻を焼く為の炉が必要となります。この炉の設置に活用されているのが皆さまからのご寄付です。現地との調整役をお願いしているハサヌディン大学農学部のアグネス・ランピセラ教授によれば、炉は消耗が激しく、数年に一度の割合で新調する必要があるといいます。今年度は複数の農家による新規参入を予定している為、古い炉の新調と新しい炉の設置に予算が充てられています。

【米を新鮮な状態で出荷する為の真空パック機】

このほか細々とした備品の中で必要不可欠となるのが、収穫した赤米を真空パックで包装する為の機械(いわゆる真空パック機)です。マリノ農場では赤米を真空包装でスーパーマーケット等に出荷しています。こちらも使用頻度が高いせいで製品寿命が短く、頻繁に買い替えが必要となります。


赤米の選別作業


真空パック機を使っての包装

 


このように農作物の栽培には、ハード面での投資が必須となります。それらは時として、こちらが予算書を見るまで想像もしていなかったような備品を含むことになります。「炉の新調をしたいだって?」、「真空パック機ってそれほどよく壊れるものなの?」等々、予算書に記載されている物品や項目に細かく目を通して現地に確認することは、遠く離れた本部にいる私達の重要な責務です。事実、現地特有の”のんびりしたお国柄”が日本的な仕事の進め方とぶつかる場合もあります。しかし、それを一種の多様性として汲んだ上で、本部では今後も大切なお金が有意義に使われているかどうかをきちんと精査し、農場の運営を後押ししていきたいと考えています。

引き続き、皆さまの温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。

*AMDAマリノ農場2020年度活動報告はこちらをご覧下さい。