「善意の絆 相互扶助」【Vol.25】おかやま山陽高校 理事長・校長 原田 一成様 – AMDA(アムダ)
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「善意の絆 相互扶助」【Vol.25】おかやま山陽高校 理事長・校長 原田 一成様


それぞれの分野で一流の技を極めた名人から指導を受ける「マイスター・スクール」と「全校生徒が空手マン」―。全国でも例がないユニークな取り組みを展開する「おかやま山陽高等学校」(岡山県浅口市鴨方町六条院中)。理事長と校長を兼ねる原田一成様に多彩な授業内容、教育理念を伺いました。

AMDA

おかやま山陽高校様からは毎年、ご支援を頂いています。ありがとうございます。

原田理事長

生徒が中心になって持ち寄った日用品のバザーや、募金活動で集まった浄財を寄付させてもらっています。AMDAさんのすごいところは、緊急時に医師や看護師の専門スタッフが素早く現地に向かわれることです。専門的な知見からの判断は、他の追随を許さないAMDAさんが持つ大きな存在理由であると敬意を表しています。

AMDA

高い評価を頂き、ありがとうございます。ところで、おかやま山陽高校は原田理事長の曽祖父が1924(大正13)年3月に「これからは地域の女性の教育が必要」との先見性をもとに岡山県生石高等女子高校を設立されたのが始まりですね。

原田理事長

1953(昭和28)年に岡山県山陽高等学校に名称を変更。その後、現在のおかやま山陽高等学校となりました。お陰さまで生徒数は増え続け、1989(平成元年)が1000人を超すピーク。その後も横ばいを続け、現在は1078人。男子6割、女子4割の比率です。

AMDA

父親の代に始められたオリジナル授業「マイスター・スクール」についてお聞かせください。

原田理事長

生徒たちに「本物」にふれる機会を提供するのが狙いで、音楽や陶芸、スポーツ、手芸など46講座あり、生徒が自ら選択します。校外の多種多様な「名人」から体験を超えた「技術」と「極意」を学び、人間の幅を広げるのが目的です。毎週木曜5、6時間目にあり、全校生徒が学年、学科、コースの枠を超えて交流します。普通の授業と違って点数で成績をつけません。一人一人の「やる気」を見るのが特徴です。

AMDA

「全校生徒が空手マン」の取り組み内容と狙い、空手を選ばれた理由を教えてください。

原田理事長

1、2年生を対象に,格技の授業として週2回(計2時間)、空手の型を学び、礼儀と集中、気力、体力を身につけています。教師の中に空手の優れた方がおられたことから始めました。

AMDA

おかやま山陽高校の名前はインターハイや国体などの常連校として全国的にも知られています。

原田理事長

普通科スポーツコースの生徒が頑張ってくれています。本校も「心―メンタル」「技―テクニック」「体―パワー」のバランスを最重視したカリキュラムを組み、授業の中でウエートトレーニング、動体視力、体育心理学などを実施。トップアスリートを目指せる設備も整えています。

AMDA

体育専門大学並みの環境づくりですね。進学率、就職率も優れた成績を残されていると聞いています。また、高校野球では2017年夏と2018年春の2回、甲子園にも出場されています。

原田理事長

特に技術に優れた特待生を招いているわけではなく、地道な努力の結晶だと考えています。指導者もユニークな方で、雨の日は野球部員に将棋や囲碁をさせたりして、柔軟な思考を身につけさせています。

AMDA

社会に出てすぐに役立つ資格取得にも力を入れられています。

原田理事長

総合高校の強みを生かし46の資格を用意しています。放課後や夏休み、冬休みには特別教育も実施しており、3年間で20を超す資格を取得する生徒ももいます。

AMDA

普通科公務員コースも素晴らしい実績を残されています。

原田理事長

税務署や一般行政職などの1次試験の合格率は100%。最終的に公務員となるのは生徒の7割以上です。同じ夢を持った仲間が集まるので、生徒たちはお互いに切磋琢磨して本気で目標達成を目指しています。

AMDA

生徒へのバックアップ体制として、奨学金制度も整備されています。

原田理事長

倉敷市と浅口市の境界部分にソーラー発電所を設置、2016(平成28)年から稼働を始めました。サーカー場2面分の広さで、電気を売って奨学金に充てています。75人に毎月1万円(返還義務なし)を渡しています。

AMDA

このほか、生徒が安心してアルバイトできるように、同校OBのフランス料理店オーナーと「カフェ」を共同経営されるなど、まさにアイディア満載の学校運営に驚いています。これらの取り組みの根底にある「教育理念」を聞かせてください。

原田理事長

自分を律することで独自性を獲得する「自律創生」、自らの信じる道をあきらめない「信念貫徹」、お互いに助け合う「共存共栄」が“教育三綱領”です。戦前はもちろん、戦中・戦後でもいささかの修正はありませんでした。今後も変わることはない建学の精神です。

AMDA

原田理事長は「持ち味を生かす教育」とおっしゃっていますね。

原田理事長

「人には必ず一つ以上、優れた点がある」。私たちはこれを“持ち味”と呼び、最大限に伸ばすことを教育の目的としています。生徒一人ひとりのありのままを受け入れ、夢の実現を応援することに今後も教職員は全力を挙げる覚悟です。

(聞き手・広報担当参与 今井康人)