生き続ける言葉 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

生き続ける言葉


毎年10月17日はかつてパキスタンのシンド州知事を務めたハキム・モハメド・サイード博士の命日です。サイード博士は知事以上に医学研究者および慈善活動家として知られ、AMDAと深く関わりのあるハムダード財団を立ち上げた人物です。1998年に凶弾に倒れるまでパキスタンにおける医学の発展に寄与し、医学から哲学、宗教、旅行記に至るまで200冊余りの著作を手掛けた著述家でもあります。

先日、博士のご家族に宛てた季節の挨拶状を翻訳していた時のこと、博士が亡くなられた後で、生前親交の深かった方々が編纂した追悼語録集に目を通す機会がありました。『Hakim Mohammed Said: Profile of a Humanitarian』(ハキム・モハメド・サイード:ある人道主義者の横顔)と題されたこの書物からは、博士の人道活動家としての並々ならぬ正義感が伝わってきます。

以下にその一部を抜粋したいと思います。

“現在自分を取り巻く状況が己を挫くような逆境であったとしても、私は決して諦めない。なぜなら諦めることは自らの運命に対する誓いを破ることになるからである。私は勇気と信念を持って自らの足枷を解き、神の恵みを得て正しき道をひた進むのみである。たとえ成功を手に入れたとしても、それが変わることはない。”

日本語には言霊(ことだま)という言葉があります。「言葉には霊的な力が宿る」という意味ですが、サイード博士もまた、ご自身の言葉の持つ大きな力で周囲の人々に良い影響を与え、社会を明るい方向へと導いていったのではないでしょうか。

そんな博士の言葉もまた現在のAMDAの活動を陰ながら後押ししてくれているのかもしれません。

AMDAに関わってきた多くの方々の言葉をこれからもお伝えしていきたいと思います。

近持 雄一郎