「命」の安全保障を推進 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

「命」の安全保障を推進


4月7日毎日新聞岡山版にて掲載されました、AMDAグループ菅波代表のエッセイ「夢童」です。
下記ご覧ください。
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経済産業省が1月から3回主催した「新興国における医療機器のメンテナンス体制強化に関する研究会」に座長代理として参加。メンテナンス体制の強化なしには医療機器の販売拡張は困難との認識の基に九つの解決手法案が提示された。

興味深いのは、日本臨床工学技士会長の川崎忠行氏が提出された、当該国に「日本医療機器センター」を設置する構想である。医療材料を含む小型医療機器(透析など)のメンテナンス拠点である。
研修、サービスと在庫を基盤にコールセンターが日系メーカー、現地代理店、現地医療機関などの関係者をまとめる。一番の基本がメンテナンスに関する技術の普及。日本は臨床工学技士を国家資格として認定している唯一の国。即ち、教育カリキュラムが確立している。

AMDAと協力関係にあるインドネシアのスラウェシ島にあるハサヌディン大学に打診した。間髪を入れずに臨床工学技士養成部門の設立に積極的な反応がきた。「我が大学はこのような最先端部門を必要としている」と。この大学はインドネシアの東部地域を担当している国立大学である。インドネシア経済界で活躍しているカラ前副大統領はハサヌディン大学同門会長である。

経済産業省は「海外における日本医療拠点の構築に向けた研究会」も主催。目的は日本の医療サービスの持続的な提供、新興国における医療水準の向上、拡大する海外の医療市場の取り込みである。事業者、医療機関・医療関係者らで構成。ベトナム、カンボジア、モンゴルなどで進行中である。ポイントは正統性のあるローカルパートナーの選定である。

バングラデシュの首都ダッカにある日本-バングラデシュ友好病院(理事長はAMDAバングラデシュ支部長でもあるサーダー.A.ナイーム医師)は1993年、ダッカ大学医学部卒業後に東京大学や九州大学の医学部博士課程に留学した医師ら3名で設立された。初の海外からの保健分野における投資案件として大統領も開院式に出席した。

今では25人の医師による100床の総合病院としてバングラデシュの医療に貢献し、同時に国内外の災害発生時には災害医療拠点として大いに寄与している。ハサヌディン大学医学部は広島大学医学部博士課程などに留学修了した医師たちが主要なポストで活躍。AMDAとの災害協定に基づいて国内外の災害に必ず医療チームを派遣してくれる重要な災害医療拠点である。

JICA支援で建設されたネパールのトリブバン大学付属病院には日本の医学部博士課程を修了した優秀な教授がたくさんいる。AMDAとの協定に基づいて積極的に医療チームを派遣してくれている。発展途上国から多くの医師たちが先進国に留学しているが、帰国して母国の医療に貢献する医師たちは本当に少数派である。欧米志向の中で、日本に留学してくる貴重な医師たちが帰国後に活躍できる支援体制の整備により、更なる日本の国益に寄与することを提案したい。

医療機器は「命の事業」である。価格に価値を付加することが重要である。外務省、厚生労働省や防衛省もアジアの災害医療への寄与を重要視している。アジア災害ネットワーク構想の災害医療支援拠点として、経産省が関与する医療機関あるいはメーカーの参加により、市民参加型人道支援「命の安全保障」体制が一層拡充できると確信している。

この機会をいただいた経産省商務情報政策局の産業課国際展開推進室室長、笹子宗一郎氏と公益財団法人国際医療技術財団代表理事の小西惠一郎氏に感謝したい。