1月14日〜18日の5日間、松田久・岡山経済同友会代表幹事一行とジュネーブにある人道問題調整事務所(OCHA),国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界保健機関(WHO)、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)、国際赤十字社、金融機関UBSを訪問した。
目的は日本大規模災害時岡山拠点構想(AMDA南海トラフ災害対応プラットフォームを含む)の紹介と国連機関との連携の可能性の調査だった。どの団体の反応も同じだった。1)30万人以上の死者が出る大災害のことを知らなかった。2)3年前から事前準備をしていることに感心した。3)今後のことについて協力したい。特に事前マッチング交流プログラムは高い評価をいただいた。岡山が国内の大規模災害支援拠点になる説明も理解していただいた。
災害発生時に「日本政府からの要請が必要」との前提で今後の協力体制を話しあった。OCHAは災害時にウエブサイトに情報発信の書き込み、UNHCRは難民救援医療に関与しているNGOなどの紹介と緊急支援物資の提供、WHOは認定緊急医療チームの紹介、UNISDR(7年前にOCHAから独立)は2015年締結の「仙台枠組み」に基づく、災害を前提とした弾力性に富む地域社会づくりへの支援で経済・産業界の役割を重要視、国際赤十字社は日本支部を通じての協力、などだった。OCHA、UNHCR、WHO、そして国際赤十字社は災害によるダメージコントロールが主な役割である。事前復興整備を目的とするUNISDRの設立に象徴されるように国連機関の災害に対する考え方も大きく変わってきている。これらの国連機関の間には密接な連携がある。なお、資金無くしては動けない。世界規模の金融機関であるUBSが大規模災害発生時の支援に取り組んでくれる。国内では既に中国銀行、高知銀行そして阿波銀行が緊急融資の枠対応をしてくれている。
1994年から「西のジュネーブ、東の岡山」のスローガンのもとに国際貢献NGOサミットを12年間開催した。外務省、岡山県、岡山市、倉敷市などが支援。人権にもとづく国連機関と国際NGOの集積するジュネーブに対応して、岡山を相互扶助に基づく世界のローカルNGOの集積地にし、世界平和に連携する仕組みづくりが目的だった。緊急救援、宗教、教育そして環境のネットワークが立ち上がり、世界平和を視野に活動中だ。ちなみに、松田久氏は当初から岡山青年会議所理事長としてこの運動に参加。今回の国連機関訪問の成果を踏まえて、2017年が「西のジュネーブ、東の岡山」構想の具現化を強化する年になれば幸いである。
02年に岡山県は国際貢献推進条例を制定。更に岡山市と倉敷市が連携した「西のジュネーブ、東の岡山」推進条例制定により、構想の継続性が確保できれば最高である。
「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」は自治体、医療機関、経済団体の連携が基本構造。加えて、国連機関との連携には外務省や厚生労働省や内閣府などの中央官庁との協力が必要になる。「西のジュネーブ、東の岡山」構想に賛同される国会議員にご活躍をお願いすることになる。
気候変動により世界中で災害が多発している。当プラットフォームが世界のお役に立つことも視野に入れたい。国民参加型人道支援外交の展開である。
今回の訪問先である国連諸機関でお世話になった方々にこの紙面を借りて感謝したい。今後ともに、皆様方のご理解とご支援をいただければ望外の喜びである。