恩返しのかたち – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

恩返しのかたち


AMDAが緊急救援活動を行う時に一番大切にしているのは、ローカルイニシアティブ, (現場主導)です。活動は常に現地の価値判断を優先させるということです。

前回、前々回の2回にわたって、AMDAのインターンとしてネパール大地震の救援活動に参加した岡山県在住のネパール人、アルチャナ シュレスタジョシが自身の活動をブログで紹介しました。同様にAMDAがローカルイニシアティブの観点からいつも頼りにしている人たちがいます。在日外国人の方々です。


フィリピンで何か災害が起こったときに大切なパートナーとして一緒に活動していただくのは、岡山倉敷フィリピーノサークル(OKPC)の方々です。2009年9月、フィリピンを襲った台風16号の支援活動からこれまでフィリピン各島で起こった災害に調整員として、通訳として、地の利とふるさとの親類、縁者を含む様々な人脈を最大限に活かして、AMDAの支援をより迅速に多くの被災地に届けるために奮闘努力してくださいました。中でもOKPCの前代表、デイジー古城さん、現代表の大山マージョリーさんは、その中心メンバーです。


2012年12月、フィリピンミンダナオ島を台風ボーファが襲ったとき、大山マージョリーさんの当時11才の息子さんは、「お母さん、そろそろAMDAから電話がかかってくるんじゃないの?」と言っていたそうです。AMDAから支援参加要請をした時には、11才の息子さんは、お母さんのために、カレーを作り、8歳の息子さんは出発の準備を手伝いました。それはクリスマスの直前でした。カトリック信者が多いフィリピンの人たちにとって、クリスマスは一年で一番大切であることは、息子さんたちももちろん知っています。クリスマスにお母さんがいない寂しさを見せず、ミンダナオ島に向かうお母さんを「頑張って困っている人をいっぱい助けてね」と送りだしました。息子さんたちの応援に応えて、マージョリーさんは、被災者に決して涙を見せないとAMDAスタッフとともに誓ったそうです。

OKPCの方々は、救援活動をメンバー全員で応援し、帰国後は、復興支援活動につなげています。2013年、レイテ島を襲った台風30号の時も、AMDAと一緒に緊急救援活動に参加した後は、メンバー数人で現地に出向き、小学生に文房具等をおくり、コンピュータから教科書をダウンロードし、印刷して配布する教育支援を行いました。

この母国への恩返しのかたちの根底にあるのは、小さな頃からの教えとして根付く「バヤニハン」の精神であると思います。「バヤニハン」とは困ったときはお互い様という「相互扶助」の意味です。小さな「バヤニハン」が集まって大きなエネルギーとなり、世代も国境も越えて母国への恩返しの輪が広がります。このようなOKPCとの絆は「相互扶助」の精神で活動するAMDAにとっては大切な宝です。

AMDA GPSP支援局 局長 難波妙