AMDAグループ代表 菅波茂
2019年4月25日。首都ダッカにあるバングラデシュ商業銀行(UCB)の アニスザマン頭取にお会いした。お会いした時にまずは手相を拝見した。人を裏切る必要のない、陰徳を積んでいる、稀にみる良い手相だった。
「今回はコックスバザールにあるAMDAのロヒンギャ難民医療支援に対する200万円からの高額なご寄付に対して直接にお礼を言いたくて参りました。今回の1年間のロヒンギャン民支援は基本的にはAMDA本部、日本‐バングラデシュ友好病院とAMDAバングラデシュ支部の3者が協力しました。基本的には、ガザリア地区で実施している小規模融資事業のスタッフと資金を活用して行いました。それに加えて、貴社からのご寄付により、更にレベルの高い医療支援を実施することができました。本当に有難うございました。
そもそもの話ですが、日本‐バングラデシュ友好病院の設立も1992年のバングラデシュ難民支援と関係があります。当時、ナイーム理事長は東京大学外科系大学院生でした。私が、AMDAとして初めて海外の医療支援することにあたり、彼に協力をお願いしました。彼はこれこそ母国の大問題であり、自分も貢献しなければならないと、弟のラザック氏を調整員として1年間の長期間にわたり日本からの医療チームのために参加させてくれました。
その時に彼はお金に関しては特に言及することもありませんでした。私は「サムライ精神」を感じました。これがご縁となって日本‐バングラデシュ友好病院設立と運営に協力をすることを決めた次第です。
お願いが一つあります。これからもロヒンギャ難民や多くの災害問題がバングラデシュ国内で発生すると思います。そのためにはAMDAバングラデシュ支部の人的及び資金的な対応能力を高めておく必要性があります。ガザリア地区における小規模融資事業は多くの女性が参加して成功しています。しかし、もっと多くの女性の参加や貸出金額を増加するための資金が必要です。あなたのUCBが実施している社会貢献策として資金の貸し出しをしていただきたく思っています」と。そして付け加えた。「あなたの手相を拝見したから、こうして正直にお願いしています」と。彼はその場で返事をくれた。「わかりました」と。
前日にガザリア地区の農村で小規模融資を実施している女性たちとミーティングを行った。この農村は小規模融資が非常に成功していた。女性たちは口々に融資額の倍増を要請した。国のGDP成長率が8%であることは、それなりにインフレ率も高い。普通預金の利子も2.5~3%である。ガザリア地区からダッカに帰る道中で、ラザック事務局長からUCBの社会貢献政策としての銀行融資を頼まれていた。彼の希望が実現することになり何よりであった。
世界の富は西から東に動いている。日本の人々の貧困化も無視できなくなってきている。日本がいつまでも過去のようにスポンサーシップでアジアの国々の支援を続けることは大きな幻想になろうとしている。AMDAの世界相互扶助ネットワークは確実に、ローカルイニシアチブのもとに、各国支部の自立の具現化の速度が顕著になってきている。本当にうれしいことである。今後の方向性として、内視鏡技術による検査や手術など日本の優れた医療技術の移転も考えている。皆様方のご理解とご支援をいただければ望外の喜びである。