広報担当参与 今井 康人
第6回AMDA災害鍼灸チーム育成プログラムが2019年7月27、28日の2日間、岡山市北区奉還町の朝日医療大学校で開かれ、全国から58人の鍼灸師や学生が受講。災害時の効果的な治療法などを学びました。
初日は、AMDAの菅波茂理事長が「鍼灸の特徴は患者の体に触れること。あなたを見放さないというメッセージにつながり、相手に安心感を与えるメリットは大きい」とあいさつ。
AMDA災害鍼灸ネットワーク代表世話人で帝京平成大学(東京)の今井賢治教授は、「災害鍼灸は東日本大震災(2011年3月)から始まった」とし、その後、被災地への鍼灸師派遣は増え続けていると説明。避難者の予診表を分析した結果などから「腰やひざの痛みの軽減やストレス低下の効果が出ている」と話しました。
熊本地震(2016年4月)で結成したAMDA熊本鍼灸チームの吉井治リーダーは「熊本県益城町は震度7を2回観測。発災から15日間で大小を含め2992回というけた違いの揺れに見舞われた」と述べ、避難所となった広安小学校での活動を紹介。7月19日の鍼灸治療終了までに患者はもちろん、鍼灸師の疲労もピークに達したと明かしました。
AMDA理事で東亜大学(福岡県)教授の佐藤拓史医師は、医師や看護師、鍼灸師ら様々な専門家の総合診療の必要性を強調しました。
朝日医療大学校副学校長の山口大輔氏は、西日本豪雨災害(2018年7月)におけるAMDAとの連携と実績について講演。さらにプログラム2日目は、救急災害訓練に調整員として参加した経験を披露。錯綜する情報の中で的確な判断の大切さを訴えました。
続いて、今井教授をコーディネーターにシンポジウムが開かれ、「AMDA鍼灸活動における連携協定の可能性と課題」と題して討議。「鍼灸が見えにくい被災者もいる。もっと分かりやすい発信を」「自治体、医師会との意思疎通を強化する必要がある」「伝統医療基本法の設立を目指してほしい」―など活発な意見が相次ぎました。
シンポジウムの参加者は次の通りです。(敬称略)
小西恵一郎(国際医療技術財団理事長)▽内田輝和(岡山県鍼灸師会長)▽松浦浩市(全日本鍼灸マッサージ師会)▽矢津田善仁(日本鍼灸師会)▽菅波茂(AMDA理事長)▽指定発言・北小路博司(宝塚医療大学教授)
受講者の感想は以下の通りです。
・東洋医学に興味があり、鍼灸も受けたことがあるため大変、面白く拝聴しました。
・災害時に調整員が人的・物的資源を調達し、現場がスムーズに回せるように支援する必須の人員であることを理解することが出来ました。
・災害時の多職種連携とお互いの理解が大切なことを痛感しました。
・患者が絶望的な時には体を触るだけで信用してもらえるという話が印象に残りました。
・日頃から寄り添う力、聴く力を養うよう心掛けたいです。
・作業療法士として何ができるかを考える機会になりました。
・管理栄養士とはどんな連携ができるのか、という考えを知りたかったです。