ベトナム人就労者の健全な受け入れを目指して~岡山で初の日越国際シンポジウム~ – AMDA(アムダ)
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ベトナム人就労者の健全な受け入れを目指して~岡山で初の日越国際シンポジウム~

広報担当参与 今井 康人

「ベトナム人就労者の健全な受け入れを目指して」をテーマにした「第1回日越国際シンポジウム」(日越国際シンポジウム委員会・一般財団法人国際医療貢献プラットフォーム主催、総社市・AMDA共催)が2019年2月20日、岡山市北区のホテルで開かれました。

国際医療貢献プラットフォームの菅波茂代表理事(AMDA理事長)が今後の取り組みとして、“安心”をキーワードとした「岡山・ベトナム健康増進コミュニティー形成推進プログラム」を提案。推進人会を発足させ、代表にアイ・エイチ・ディ協同組合の小林眞弘代表理事を満場一致で選出しました。

同シンポジウムは、駐日ベトナム社会主義共和国特命全権大使のヴ― ホン ナム閣下をはじめ、両国の医療、行政、教育、団体・企業関係者やベトナム人技能実習生ら213人が出席。各界の代表がそれぞれの立場から“相互信頼”の構築を目指し意見を発表、質疑応答を行いました。

同シンポジウムの発起人は菅波茂代表理事です。逢沢一郎代議士の紹介で、2018年6月、ハノイ市で駐ベトナム社会主義共和国日本国特命大使の梅田邦夫氏と面会した際、ベトナム人就労者が日本で生き生きと活躍できるよう配慮してほしいとの要請を受けました。その際、同席していた総社市長の片岡聡一氏、小林眞弘氏とともに企画したものです。

出席者の発言要旨をご紹介します。(発言順)

【第1部    日越友好のために望むこと】

<ヴ― ホン ナム閣下>

日本とは1000年前から貿易を始めた。近年、ベトナムへの投資も増えている。経済だけでなく、文化や歴史も良く似ている。日本に住むベトナム人も年々増えだ。日本人を心から信頼している。

ベトナム人は勤勉で明るい。技能実習生は日本で仕事のスキルやマナーを学び、帰国後に生かしてほしい。日本の文化を持ち帰ってほしい。両国間で「家族」のような関係が定着し、友好関係がさらに深まることを願っている。



 

【第2部    受入態勢と健康維持の推進】

<AMDA国際医療情報センター理事長 小林 米幸氏>

クリニックを開業して29年。診察をしたベトナム人家族は702人。常日頃からなじみがあり、ベトナム人は大好き。技能実習生の健康を守り、人権を守ることは我が国の責務。それが両国のさらに密なる友好関係に発展するものと期待している。





 

<NEWTATCO(ニュータコ)ホーチミン支社長 ダン ティ ミン トゥェット氏>

技能実習生は在日中に仕事のマナーを身に着け、日本語能力検定試験に合格し、素晴らしい体験を得ている。その一方で、文化や意識の違いからお互いに思い違いが生まれている。双方が気遣いを持って傾聴すれば良好な関係に近づき、ギャップが減らせると確信している。



 

<IMS社常務取締役 グェン ティ ロアン氏>

日本から帰国した実習生たちのイメージは、入国前に比べて良い方向に変化する。技能実習3号※に進みたいという希望者は6割。留学生として日本へ戻る者、日系企業に就職するのも選択肢の一つである。日本で学んだことは本人をはじめ、ベトナム国においても大いに役立つと考える。



※技能実習3号…主務省令で定められた基準に適合していると認められた、優良な監理団体・実習実施者に限り、1号・2号技能実習(3年間)を終えた後、さらに2年間の第3号技能実習に移行することができる。

 

<ダナン大学医学部学部長 グエン ダン クォック チャン氏>

看護学生は日本で働きたいと思っているので、彼らは真剣に日本語を学びたいと思っているが、日本語は難しいので、途中であきらめる人が大勢いる。しかし、明確な目的を持っているものは日本語能力検定試験に合格する。今後、医学部にも日本語教育クラスをつくり、日本に送り出したい。



 

<アイ・エイチ・ディ協同組合代表理事 小林 眞弘氏>

日本に在留する外国人技能実習生は約23万人、うち4割がベトナム人である。今や外国人と共生して道を選ばざるを得ない時代になった。しかし、不安材料があるのも事実。日本の企業が法令的にも精神的にも健全に受け入れ、長く在住したいと思える体制を行政が整えることが重要である。



 

<ベトナム国防省175軍病院副院長 チャン コク ヴィエト氏>

まず日越国際シンポジウムの開催に感謝を申し上げる。今後の展望としては、日本に実習や留学に行く人にはベトナムで健康診断を行い、証明書を発行することが必要。さらに医科学研究、医療人材育成の分野などに関心を持つ日本のパートナーと積極的に協力したい。



 

<社会福祉法人恩賜財団済生会 支部岡山県済生会支部長 岩本 一壽氏>

岡山県済生会の国際医療貢献は1980年、カンボジア難民救援のためタイへ医療班を派遣したことに始まる。その後も職員派遣や研修生を受け入れてきた。今後、国際交流協定を締結した175病院との交流を強めるとともに、在岡の外国人の支援もしたい。

<岡山県総社市長 片岡 聡一氏>

私は昨年6月にベトナムを訪れ、衝撃を受けた。日本は立ち仕事が多いと言われ、1日8時間立ったまま授業を受けていた。総社市は全国に先駆け、永住者を増やすよう様々な施策を講じていく。私は、彼らを総社市民として受け入れる覚悟はできている。

【第3部    受入企業の取り組みと就労者の声】

<太陽美術紙工株式会社取締役 辰巳 贒氏 (同社管理部部長 近藤 実氏 代読) >

ベトナムから技能実習生を受け入れて戸惑うことが多かったが、それ以上に私たちの価値観を刺激してくれる収穫の多い1年半だった。特に言語が大きな壁となったが、まじめで目的意識が高く、実習生を1人の人間として関心を持つと信頼が湧く。得るものの方が多かったと振り返っている。



 

<太陽美術紙工株式会社技能実習生 ファン ティ タン フォン氏>

私が日本に来たのは、家族の家計を助けることと日本語を学ぶためです。会社の人はとても親切で、いつも仕事を丁寧に教えてくれます。私が日本語を勉強したいと言ったら本も買ってくれました。本当に感動しました。将来の夢は通訳になることで、両国の友好の懸け橋となりたいです。



 

<丸天産業株式会社常務取締役 佐藤 紘之氏>

社員から実習生の評判を聞いてみると「明るい!良くしゃべる」「笑顔が良い」「目的をもってしっかり仕事をする」。これらが周りの社員に良い影響を与えている。文化や言葉も違う中で3年後に帰国した時は、異国で学んだことを自国の発展に生かしてほしい。

<丸天産業株式会社技能実習生代表 グェン ティ トゥイ ホア氏>

日本の実習生プログラムを聞いた時、私は人生を変えるという自分の夢を見つけました。会社の人たちはとても親切で、よい人間関係が出来ています。何か分からないことがあったら熱心に教えてくれます。将来は通訳になって日本に住みたいと思っています。