第5回AMDA災害鍼灸チーム育成プログラムを開催 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

第5回AMDA災害鍼灸チーム育成プログラムを開催

プロジェクトオフィサー 神倉 裕太郎

AMDAは、被災地の方々に対する鍼灸治療の効果に注目し、2011年の東日本大震災をはじめ、広島土砂災害、福知山広域水害、熊本地震、そして今年7月に発生した西日本豪雨災害など、数々の災害時に「AMDA災害鍼灸チーム」が活動を行いました。平時とは異なる災害時の鍼灸活動において、より効果的な活動が実施できるよう、AMDA災害鍼灸ネットワーク代表世話人である帝京平成大学の今井賢治先生の下、当プログラムを毎年実施しています。 11月23,24日の2日間の日程で実施しました今年のプログラムは、過去にAMDA災害鍼灸活動で活躍された鍼灸師の先生方、協力協定を結んでいる岡山県鍼灸師会や朝日医療大学校など各団体の方々、災害支援活動に興味のある鍼灸師や学生の方々など、合計55名が参加されました。より多くの方々にAMDA災害支援活動を知っていただき、AMDA災害鍼灸チームの地盤を作ってきた4回目までとは違い、第5回目となった今年からは、「AMDA災害鍼灸チームの強化」を目指していきたいと開催前に今井先生も語られました。












岡山県岡山市にある朝日医療大学校で行った一日目のプログラムでは、冒頭のAMDAグループ代表、菅波茂からの話に始まり、今までAMDA災害鍼灸活動で活躍されてきた鍼灸師の方々から、被災地での鍼灸活動について講義をいただきました。巡回によってよりフットワークが軽い活動ができた東日本大震災や、派遣の災害鍼灸チームの活動から地元の鍼灸師チームによる長期的な活動に移行できた熊本地震、岡山県鍼灸師会や朝日医療大学校などの協力協定団体からの協力により迅速な活動開始が可能になった西日本豪雨災害などのご経験や、その中で生まれた課題などについて話題にされました。「他の団体でも災害支援活動に従事したことがあるが、鍼灸師の登録者数と、他業種との連携がAMDAの強みで、他にないものだと思う。」との参加者の方からの発言もあり、他業種との連携する上でのメリットを踏まえつつ、「西日本豪雨災害時では、引継ぎが上手くいかない部分があった」と他業種間で活動するからこそ引継ぎの重要さや難しさについて意見がありました。

岡山県総社市の岡山県立大学で行った二日目は、一日目の内容を受け今後の南海トラフなどの災害に向けて、今後どう取り組んでいけば良いのかなどについて、参加者からご質問やご意見を積極的に話していただく総合討論の時間を設けました。鍼などの資機材の管理、患者さんの情報引継ぎ、調整業務の話や、他の医療チームとの連携など、参加される様々な立場の方々より意見をいただきながら、今後のより良い災害支援活動に向けて充実した時間となりました。「災害鍼灸活動はあくまで緊急支援活動であり、地元の鍼灸師たちが立ち上がった時点で引き揚げるべき」、「地元の鍼灸院を圧迫するべきでない。むしろ地元の鍼灸師に繋いでいくことで、長期的な避難者の方々のケアが可能になる」と今井先生の災害支援活動に関する考えも述べられました。地元鍼灸師や他業種との連携をしてきたAMDA災害鍼灸に関して、「災害支援の経験が豊富なAMDAが災害鍼灸に力を入れてくれているのは心強い」という声もありました。

被災地で活動を行う全国の「AMDA災害鍼灸チーム」ですが、被災地以外で顔を合わせたり、活動の共有をする場面はなかなかないため、本プログラムは非常に貴重な機会になったのではないかと考えています。1日目、2日目の両日においても、質問や意見などがたくさん飛び交いました。様々な地域や年代、所属からお集まりいただいた本プログラムですが、「人の役に立ちたい」という目的は一つであり、終了時間を過ぎても挙手が止まない非常に白熱した討論が続きました。参加者の中にはすでに災害支援活動の経験のある方も多く、それぞれの経験や意見を述べ合うことで、南海トラフ等の災害に向けて更なる「AMDA災害鍼灸チーム」の経験値の強化に繋がったと感じています。