~AMDA東日本国際奨学金~ NO.1 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

~AMDA東日本国際奨学金~ NO.1

 2011年3月11日の東日本大震災後、医療人を目指す被災地在住の高校生、専門学校生を対象に2017年度までに8校延べ315人、総額5,670万円を給付してきました。社会人になり各方面で活躍中の奨学金受給者のインタビューをご紹介いたします。
 尚、この奨学金は2017年度をもちまして終了いたします。長らくのご支援誠にありがとうございました。
 


平成23年1期生 佐藤 慎さん


 東日本大震災の時は、高校1年の3月でした。陸前高田市にある自宅は、津波の被害にあい、避難所、仮設住宅での生活となりました。高校は、隣の市の大船渡高校に列車で通っていました。しかし、列車も津波被害を受け不通となり、代行のバスを使って1時間ほどかけて高校に通うことになりました。

 高校の授業再開と共に、高校2年生として自分の進路についても考える時期もやってきました。「自分にできることは何か」と考えたときに、高校の先生からAMDAの奨学金の話をしていただきました。このことが、将来地域のためにできる仕事、医療人としての仕事をする進路へ進む後押しとなり、勉強に励みました。仮設住宅では、十分に勉強する場所や時間がとれなかったので、避難所となっていた中学校の空き教室で自習をしながら受験に取り組み、進学することができました。

 現在は、医学部5年生となり臨床実習やテストなど、日々たくさんの学びと経験をしています。スケジュール的には忙しいですが、様々な診療科で臨床の現場にたてることは、貴重な経験となっています。臨床実習では、1年から4年までの座学中心の学びや知識の大切さをより実感しています。さらに、現場で働く医師の姿や、医療現場における学びは、将来の自分の姿を入学当初に比べ具体的にとらえられるようになってきました。医師という仕事の責任感や、目の前の患者に対してどのように接していくのかなど考えるようになりました。
 進学のため陸前高田を離れ、ひとり暮らしをしていますが、授業のスケジュールの合間を見て半年に1回ほど、地元に帰っています。帰るたびに道路やまち並みの変化を感じます。同級生にも会う機会があります。その中の一人が、消防士として働いています。いつの日か、消防士の友人が緊急搬送し、自分が病院でその対応をしていくこともあるかもなどと、話したりしています。
将来は、地元の地域医療に貢献したいと考えています。具体的な診療科や専門分野などはこれから決めていくのですが、患者一人ひとりの生活を支え、寄り添っていける医師を目指しています。
 これまで支えてくれた方々に感謝を伝えられるように、目の前の患者を大切に、丁寧に診ていく医療を提供できる医師になるため、多くの経験を積んで学んでいきます。
 
 震災のあった際に駆けつける多くの緊急救援団体等に、自分も多くの方から支えてもらいました。何か、自分ができることと、タイミングが合えば協力していきたいと思います。