2017年度スリランカ医療和平プログラム開催報告 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2017年度スリランカ医療和平プログラム開催報告

今年も8月5~7日の3日間の日程で、“AMDAスリランカ平和構築プログラム”が開催されました。スリランカ内紛の悲しい歴史は今も記憶に新しく、2003年から実施してきたAMDA医療和平プログラムに始まる継続的な復興支援活動は、「平和」が続く社会を目指し、次の世代への意識改革が大きな目標の一つとなっています。

その主なプログラムが2011年から始まった異なった宗教・民族の学生たちが参加する平和構築プログラム(Peace Building Program)です。 2013年からは日本人学生も参加し、さらに多様性を体験するプログラムとなっています。

2017年度の開催地は、スリランカ中部のマータレ(Matale)という山間部の町で、近くには古都キャンディがあり、比較的涼しく雨の多いところです。初日の開会のセレモニーの直前にスコールに見舞われましたが、その後すっきりと晴れた青い空と近くの山々の緑、キャンディ王朝伝統の踊りが私たちを歓迎してくれました。












今年度は活動地マータレ(Matale)、キリノッチ(Kilinochchi)及びトリンコマリー(Trincomalee)の3地域より、文化や宗教、言葉等が異なった学生たちが参加しました。初めは緊張していた様子の各地域からの学生たちも、“他宗教間プログラム”で異なった宗教施設を訪問しそれらの教えに触れ、一緒の時間を過ごすことで打ち解けていく様子が見えます。 日本の学生だけでなく、スリランカ人同士でも言葉の壁があります。でも、伝えたい、知りたい、仲良くなりたいという想いの下では、言葉の違いが「壁」にはなりえないということを実感しました。

さらに、スポーツ・アート・カルチャープログラムでは、学校も性別も宗教も言語も関係ない混合チーム単位で競い合い、チーム対抗の様々なアクティビティーに取り組んでいくことで、チームの団結が生まれ、協力し合ってひとつのものを作り上げ、共有していきます。

2日目の夜のキャンプファイアでは、学生だけでなく引率の先生方、会場となった学校の保護者の方々など全員が参加してのダンス大会となり、側にいる人同士が手を取り合い、まさに一体となって夜が更けるまで盛り上がりました。

寝食を共にして過ごす3日間が終わるとお別れの時が来ます。仲良くなった友達と帰りのバスが出発するまでの最後の時間を惜しんで言葉を交わし、抱き合います。瞳からは涙があふれているけど、別れるのは寂しいけど、過去に起こったような悲劇は繰り返さない、自分たちは宗教が違っても、民族・言葉が違っても仲良くできるという自信が、みんなの顔を輝かせているように見えました。

例年、このプログラムに参加してくださっているキリノッチ(Kilinochchi)の学校の校長先生は、「うちの学校の生徒たちは、内紛の影響で、自分たちは他の民族の子供たちよりもずっと劣っていると自信を無くしていました。 でも、このプログラムに参加してから、自分にも何かできるという自信を取り戻してくれています。」と、学生たちの内面の変化を言葉にしてくれました。

また、学生たちの交流プログラムと並行し、8月6日には医療和平プログラムとしてマータレ区総合病院の医師、看護師と地域保健スタッフの協力のもと、マータレの学周辺の住民を対象に無料診療と保健教育も実施されました。特に無料で配られた老眼鏡の支援には130人以上が列を作り、視力が矯正され良く見えるようになると、驚きと共に満面の笑顔が見られていました。

「平和な社会」は全ての人々の願いです。 AMDAは次世代を担う一人でも多くの学生が「平和」について考えるきっかけとなるよう、継続してこのプログラムに取り組んでいきます。