ネパール地震に対するAMDA多国籍医療ミッションの報告 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール地震に対するAMDA多国籍医療ミッションの報告

モハメド・フマユン・アランギール医師(AMDAバングラデシュ)から報告が届きました

2015年4月25日午前11:55、ネパールで発生したマグニチュード7.8の地震は8,500人以上の命を奪い、2万2000人以上の人が負傷した。それを受け、AMDAは、その「相互扶助」の精神の下に多国籍医療チームの派遣を決定、私は、AMDAバングラデシュからその活動に参加した。AMDAネパール支部が指揮を取り、数週間にわたってAMDA多国籍医療支援活動(AMMM)が複数の被災地で実施され、私はヌワコット郡カビラス、ゴルカ郡パンドルンドゥラリとマホリヤで活動した。

2015年5月8日朝9:00、大量の緊急用医薬品と共に、カトマンズから4時間離れたヌワコット郡カビラスに向かい、先行してこの地域で医療活動を行っていたチームに合流し、医薬品と他の必要な物を手渡した。

翌9日午前10時には、AMDAカナダからの小児科医とたくさんの医薬品や飲料水、必要物品と共に最も被害の大きいゴルカ郡に向かった。道の両側には崩壊した家々などが連なり、所々道や地面もひどく被害を受けていた。5月10日にようやく目的地に到着した我々は、5人の医師で2時間半の間に168名の患者を診察することが出来た。多くの患者は外傷から来る痛み、発熱、創感染、感冒、下痢、関節の腫れなどを訴えた。午後から他の地区に向かい、そこでさらに数日医療活動を継続した。

11日には、遠く離れた場所から重篤な女性患者が運ばれてきた。すぐ点滴治療が開始され、2時間ほど経過観察した後、付添いの人々に必要な医薬品を渡し帰宅してもらった。







ここには、たくさんの患者がおり、5~8人くらいの患者が地震の際に受傷した傷の手当てを受けた。その内、2、3人に破傷風の予防接種も実施した。75人以上の患者が我々の仮設医療施設で治療を受けた。患者の多くは、身体のあちこちの痛み、眩暈、下痢、発熱、おう吐などに苦しんでいた。







その活動場所は、活動中にも近くの丘で土砂崩れが発生するような山の上の危険な場所だったが、最終日には、さらに遠方から来る人もおり、女性や子供達を中心に計70名に対応した。雨にもかかわらず、何人かの患者は再診に訪れ、反響の大きさに驚かされた。 高齢者の主訴は、倦怠感、食欲不振、眩暈、かすみ目、咳や感冒などであった。長期の治療が必要な患者は、カトマンズかAMDAの病院のひとつであるシッダールタ母と子の病院に紹介された。

ついに別れ時が来た。メイン道路が通行止めであったため、村人の案内で、でこぼこの石がごろごろした山道を2時間半歩き下山。迎えの車と合流し、深夜近くになって、ようやく首都カトマンズに到着した。

この活動は、ネパール人医師、現地ボランティアと地域社会に住む人々、AMDAネパールの医師たち、カナダや日本、その他の国から参加した医師たちと多くの支援によって、成功裏に終了した。この機会を作ってくれた、全ての人に感謝する。