ネパール地震復興支援  ~車いす製造研修支援活動報告2~ – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール地震復興支援  ~車いす製造研修支援活動報告2~

ネパール大地震の発生から3か月が経過しました。AMDAはネパールの関係団体と連携をしながら支援活動を継続しています。

AMDAは被災地で障がいをもって生活をする被災者のための車いす製造研修への理学療法士の派遣と、車いすの製作費用を提供しています。この活動に参加した西嶋理学療法士からの最終活動レポートが届きました。さらに震災後のネパールで報道されている現状をまとめました。

車いす製造研修支援活動 研修終了報告


AMDAは7月28日からネパール政府などが主催となり実施している車いす製造研修会へ、西嶋理学療法士の派遣しました。さらにカトマンズにある障がい者支援組織であるカトマンズCILと協力して、研修後に車いすを実際に製作するための材料費を支援しました。

研修会終了後、参加者は、カトマンズCILとカトマンズ大学より再度招集され、アルミの溶接技術者も加わり、2か月の間にアルミ製の車いす50台を完成させるという目標が設定されました。大学の学生と講師陣、地元の技術者らが協力して作業が行われる予定です。ネパール人同士で協力して作業を継続できるように、日本からも講師の方が連携して引き続きサポート体制をとっています。

また、7月31日にはカトマンズ市内にてネパール政府関係者、国際NGO、民間の医療機関および福祉施設、障害者団体等およそ50人が参加し、車いす製作研修会(会議)が開催されました。 その会議の中で、AMDA西嶋理学療法士は、震災後、脊髄損傷や切断などの方が多かったことに加え、避難所生活が障がい者の健康を損ねる可能性が高く、深刻である現状が紹介。対応策として、障がい者となられた方々の自立生活に向けたサポートや、車いすで移動をしやすくするための環境整備が必要であることが発表しました。特に車いすについては、ネパール国内で生産・材料調達の道を作る意味、ネパール人技術者を養成すれば、利用者の体に合わせた車いすを作成することができ、さらには技術者として雇用がうまれることなど、経済面での利点なども合わせて説明をし、政府の障がい者対策の必要性をAMDAの相互扶助の精神とともにアピールしました。

今後は、医療機関を転々としている障がい者がいわゆる医療難民化することや、不適切な生活環境が懸念されるため、障がい者についての行政、医療機関、支援団体での情報共有が必要であると考えています。


ネパールの現在 発災から2か月、3か月が経過して


7月5日付ネパール新聞Annapurna postによると,  地震後に自殺する人が増えていると報道されています。地震前の3月は自殺者が 26人、4月は28人であったものの、4月25日の大地震の後に自殺者の人数が増 えており、5月は36人、6月31人が自殺しています。そのうち7人は地震の後の精神的な不安 を理由に自殺を図ったとみられています。そのほかに難にかの精神的な不安による自殺 者は17人、家族内の問題で自殺する人は22人。ここからも、地震後の精神不安が増えていることが読み取れます。10代から40代の自殺者が一番多くて49人、既婚者の自殺者が54 人。また、学校教育を受けていない者、その日払いの給料で生活している者の自殺者が多いことがわかりました。ここから、 教育レベルが低く、定期的な収入がなく、家族を養う責任があり、地震の後に家や職を失って、精神的な不安で自殺する人が増えているのではないかとみられています。

また、今回の地震で被害が大きかったゴルカ郡のケロザ村では1週間前から頭痛、風邪、 高熱、赤痢などが流行し、50人以上の患者が出ていて、二人が死亡しました。70世帯、ほとんどの家が全壊し、テントに生活しています。雨が降り続く季節となり、 寒いのと、飲み水が汚く病気が流行したとされています。村の診療所は医者がい ないため、状況がもっと悪化する可能性があとみられています。現地メディアの情報によると、ネパール大地震から3か月たった、現在も余震が続いています。8月11日の午前に カトマンズ震源地の4.3度余震がありました。さらに、ネパールは現在雨期で毎日雨が大量に降っているため、西ネパールでは大雨から土砂災害や地すべり が発生し、20人以上の人が亡くなったとの報道もされています。

8月6日から断続的に降り続いている雨による地すべりで、32世帯が避難生活を余儀なくされています。毎年、8月はネパールのカトマンズ市内は下痢や赤痢の病気が流行する傾向があります。震災後の避難生活の中で、今年は、昨年よりも患者の数が増え、毎日25人以上の人が下痢や赤痢を訴えて病院に 訪れています。死亡者歯報告されていませんが、今後も患者 が増えることを予測し、生水や道端で売られている食べものは食べないようにと現地メディアが注意を呼びかけています。