2015年4月25日にネパール中部を襲ったマグニチュード7.8の地震では、8800名 以上が亡くなり負傷者は、22,000名を超えました。AMDAでは、ネパールの協力団体とともに、様々な復興支援活動を継続しています。その一つとして、震災時に緊急医療チームとして活動に参加した理学療法士を中心としたリハビリテーションに関するフォローアップ活動を実施しています。その中で、2015年7月28日からネパール政府の実施した「車いす製造技術研修」に理学療法士を派遣し、車いす制作のための材料費を支援しました。
緊急期のふりかえり
ネパール中部地震では、骨折、腓骨神経麻痺、切断肢、脊髄損傷など外傷患者の多くが手術後にリハビリテーション治療が必要な状況がありました。しかしながら、理学療法士が不足している状況があり、AMDAでは、ネパール在住の理学療法士、西嶋望氏の派遣を決定。5月9日から25日までトリブバン大学教育病院を拠点に同病院で手術を受けた患者のリハビリテーションを行いました。その他にも障がいを持つ方々が避難していた避難所を医療チームが訪れ、健康相談や支援物資の配布支援活動を行いました。
車いす製造研修への支援活動
震災から3か月が経過し、復興の途上にあるネパールでは、未だ様々な支援を必要としている住民が多くいます。中でも、被災により障がいを抱えることとなった人々は、医療機関やリハビリセンターのような退院後の受け皿がない状況に置かれています。つまり、障がいがあっても、日常生活できる車いすなどの補助具などを整え る必要があります。このような状況を受け、ネパール政府などが主催となり、7月28日から3日間、カトマンズ、脊髄損傷リ ハビリセンターで車いす製造技術研修会を行いました。参加者は、カトマンズ大 学の学生、鉄工職人、障がい者団体、脊髄損傷リハセンター車いす修理部門スタ ッフ。この研修にAMDAは西嶋理学療法士を派遣しました。
西嶋理学療法士は、パキスタン人技術者などとともに、講義と車い す製作の実践を通して、車いすの調整や修理方法の指導などを行いました。 研修が進むにつれて、現地の生活状況に合わせた車いすが製作されました。参加 者はとてもモチベーションが高く、研修会場は4時までしか使えないにも かかわらず、「もっと残ってできないかとか」「休日もやりたい」との声があがりました。
さらにAMDAは、理学療法士の派遣に加え、カトマンズにある障がい者支援組織で あるカトマンズCILと協力して、研修後に実際に車いすを製作するための材料費を支援しました。今後も状況を注視しながら、支援活動を継続してく予定です。