AMDA野土路農場では、新庄村と共同で、2014年度にはフィリピンから2名の有機農業研修生を受け入れ技術移転プログラムを実施した。そして研修生の帰国後、2015年2月20日から3月1日の期間、新庄村とAMDAから3名の農業技術者をフィリピンへ派遣し、フローアップと相互研修を行った。
帰国後の3月27日、フィリピンでの活動について報告会を、新庄村内「新庄村役場創生センター」にて開催した。
アジア有機農業連携活動推進協議会 会長 稲田 泰男氏から開会の挨拶のあと、 AMDAの緊急救援活動状況について AMDA田中から報告があり、 これまでの経緯と事業概要について、AMDA浅田が発表した。派遣の目的や派遣日程、簡単な活動内容を紹介、およびフィリピン研修生からのビデオメッセージの紹介を行った。ビデオ中で2名の研修生からは新庄村での研修や親切にしてくださった人々に対する感謝の気持ちが語られ、これからも協力して有機農業を進めていきましょうと話した。
発表の後フィリピンのスナックを報告会に集まってくださった参加者に配布して試食してもらい、フィリピンの味を体験していただいた。
新庄村 坂本英典氏の活動報告
フィリピンでの農業の印象については、土地が非常に固くやせており、作物は何もできないのではないかという印象を受けた。現地の農家にどぶろく作りを伝えた。うまく発酵しとても喜んでもらえたようだ。参加者からはこれからも教わったどぶろく作りを続け、お祭りのときにみんなで飲みたいというコメントをもらった。貧しい農家の人たちのささやかな楽しみになればいいと思う。
天ぷら作りや合鴨農法の紹介も行った。フィリピンに行けた事で自分もとても勉強になった。フィリピンの人たちには儲かる農業を教えたい。農村の経済状況が変わるといいなと思う。貴重な経験ができました。
新庄村 鈴木一成氏の活動報告
現地で目にした土はまるでコンクリートのようでスコップもささらなかった。日本のような鍬もなかった。乾季には井戸を掘りポンプを買える農家しか米を作れない。フィリピンの農家の格差に憤りを感じた。太陽熱養生処理を始める前に土の酸性度が強かったので、石灰を持ってきてほしいと農家の人に頼んだが石灰とは何だ?なぜ土に入れる必要があるのかと聞き返された。石灰が無いのであれば卵の殻も利用できるということを教えた。有用菌を入れて土壌改良をするということもわかっていない様子だった。
現地ではインターネットやスマートホンはかなり普及している様子だが情報を調べるために使うという発想が無かった。機械に人が追いついていないようでいびつさを感じた。他にも糖度計やpHメーターについて解説したが現地の人は知らず、フィリピンの現状を見て衝撃を受けた。それでもフィリピンの人たちはとても楽しそうで、つらいときは空を見て笑うと言ったフィリピンの人の言葉に少しだけ希望を感じた。
質疑応答のあと、新庄村役場産業建設課長の大野氏の閉会挨拶で報告会は幕を閉じた。