パキスタン・インド北部洪水 被災者に対する緊急医療支援活動3 – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

パキスタン・インド北部洪水 被災者に対する緊急医療支援活動3

インド、パキスタン北部のカシミール地方で発生した豪雨による洪水被災者への支援活動としてAMDA医療チームは、パキスタン、インドの両国で支援活動を実施している。

【インドで活動を実施したAMDA山﨑看護師からの活動報告】

インドでの活動は、ナグプールを拠点とするパンニャ・メッタ・サンガと天台宗一隅を照らす運動総本部、AMDAの3者合同での支援活動として実施した。

9月25日にインド、デリーに到着したAMDA看護師は、同団体関係者と被災状況の確認や具体的活動内容について打ち合わせを行った。

翌26日、一行はデリーを出発し、スリナガル空港へ。一方、ナグプールからは、パンニャ・メッタ・サンガのスタッフが、医薬品・支援物資とともに陸路でジャム―を目指した。

スリナガル空港では、カシミールの地元NGO(Kashimir Welfare Center: カシミール福祉センター)と合流。被害の状況などについて情報共有を行った。スリナガルの50%が被災したという。

洪水で被害のあったブッガン県(Budgam) マガン町 (Magam)カニハマ村(Kanihama)、ナルバール・シェック・ポラ地区(Nabar Shiekh Pora) を視察した。川から500メートルほど離れた場所で、1.5~2メートルの高さまで浸水し、この地域だけで300棟の家屋が被害を受けた。家の1階部分が崩壊し、土砂が流れ込んだままの家や、レンガの塀や壁には洪水の後が生々しく残っている様子が見られた。


被害の大きかったスリナガルの町

被災した建物

また、一見被害を受けていないように見える建物も、浸水により壁や床に亀裂がはいってしまい、耐久性に不安を感じながら暮らしている家族や、中にはテント暮らしをしている家族もあった。被害は、家や家財道具だけではなく、多くの家畜も水に飲み込まれ命を落とした。さらに、ちょうど収穫を迎えていた米も泥水に浸かってしまったが、それを脱穀し、食べざるを得ない状況であるという。カシミール地方の特産であるリンゴ農園も多大な被害を受けた。

27日、被害の大きかったパタン町(Pattan)、ゴプラン村(Got.Goplan)を視察。川の傍に広がるこの地域は、数日前まで浸水しており、住民は5キロも離れた避難場所から、ようやく家に戻ったところであった。学校も被災しており、子供たちが学校に通える目途も立っていない。もともとこの地域には農業・漁業・カシミール織で生計を立てている家庭が多いが、舟も織り機も被害を受け、収入を得る手段を失ってしまった被災者も多い。町は、1家庭に月25キロの米の支援を決めているが、その他の支援の目途は立っておらず、 これから冬を迎える被災者へ持参した25枚の毛布を配布した。


医療支援の様子

毛布を受け取った少女

その後、最も甚大な被害を受けたスリナガル町(Srinagar)を視察。3メートルの高さまで浸水した場所もあり、町のいたるところで、足首から膝くらいまでの高さの水が残っていた。町の中心部では、多くの店や学校、病院がまだ閉鎖したままであり、被災した商店などが使えなくなった商品を外にだしたり、片付けに追われていた。まだ、あちらこちらにゴミや汚泥が散乱し、不衛生な環境の中、生活をしている様子が見られた。


支援活動の様子

28日、パタン町(Patten)の病院から2人の医師の協力を得て、ゴプラン村(Got.Goplan)で訪問診療を実施。時間の制約もあり、関われたのは診療のごく最初の時間だけであったが、それでも17名の患者が訪れ、医師の診察を受けた。来られた患者の主な症状は呼吸器感染症だった。また、長時間浸水した中で過ごしたことにより、身体の痛みを訴える高齢者もいた。この診療は、その日の午後、地元医師に継続してもらい、さらに残った医薬品は被災者のために使ってもらえるよう、ご協力いただいたパタン町(Patten)の病院の医師に寄贈した。さらに追加で28世帯に毛布が配られ、ゴプラン村の別の集落でも55枚の毛布を配布することができた。帰り際、支援を受けた一人の女性がAMDA看護師を何も言わずに長い間強く抱きしめた。

残った77枚の毛布と医薬品は、パタン町(Pattan)の役場に寄贈し、これらは、ジャマルムリ村(Jamalmri),マンディルジャリ村(Mandirjari),マティペラ村(Matipera),タンタロイ・ペラ村(Tantaroy pera)の4つの村のために役立てられる予定である。

役場の担当課長からは、今回の支援に対し、支援物資を有効に活用することを約束し、パンニャ・メッタ・サンガ、カシミール福祉センター、AMDAそれぞれに感謝の言葉が贈られた。