フィリピン30号台風 被災者に対する復興支援活動 AMDA速報15 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

フィリピン30号台風 被災者に対する復興支援活動 AMDA速報15

2013年11月8日にフィリピンで発生した台風30号の被災者に対する支援活動として、AMDAは11月10日から被災地入りし、緊急医療支援活動を行ってきた。2014年1月からは復興支援に切り替え、現在も医療支援活動を継続している。

現地協力機関であるフィリピンレイテ島のレイテ医師会と合同で、定期的な無料巡回診療の実施を決定。第1回目は3月30日に実施し、レイテ島タクロバン市サンホゼ地区にあるマンルリップ小学校を会場に医療の提供だけでなく、子どもたちへの炊き出しも行うことができた。

4月13日には第2回目として、レイテ島カリガラ町(Carigara)サンマテオ地区(San Mateo)にて巡回診療を行い、総勢285人の患者を診察した。成人患者には、上気道感染症やリウマチ性関節炎、尿路感染症が多かった。小児患者には、創部感染症、栄養失調症、急性胃腸炎、回虫症が多くみられた。学校が夏休みであったため、小児患者は前回よりも少なかったが、55人の子どもが割礼手術を受けた。女性への子宮がんと乳がん検診も実施された。患者の多くが農家や漁師の妻などの低所得者であったため、110人もの女性が喜んで受診した。検診を受けた女性患者からは感謝の言葉が多く聞かれた。


診察を待つ患者たち

診察の様子

検診を待つ女性の列

女性検診の様子

5月8日には第3回目として、レイテ島タクロバン市の郊外20 kmのところにある、タナウアン(Tanuan)にて巡回診療を行った。タナウアンは台風の被害が最も大きかった地域の一つで、高潮と豪風のため多くの道路が破壊され、ビルや家屋は崩壊した。現在は約2割の住民が修繕した自宅で生活しているが、8割の住民は未だ避難テントでの生活を余儀なくされている。政府、道路公団、開発社会福祉局の援助もあり、徐々にテントから避難所に移ることが出来ている人はいるものの、未だテント暮らしをしている人も多く、支援物資に頼らざるを得ない状況は続いている。

巡回医療支援活動では、215人の患者を診察。女性患者の多くは主婦であり、男性患者の多くは漁師、農家、公務員、教師などであった。成人患者では、尿路感染症、高血圧、関節リウマチ炎などの症状が多くみられ、小児患者では気管支炎、皮膚炎、喘息などの症状が多くみられた。診察を受けた患者たちからは、感謝の声が多く聞かれた。また、「継続的に支援活動を行っているAMDAとレイテ医師会に深く感謝している。」「タクロバン市全ての人が心身ともに回復するまでこの活動を続けてほしい」などの言葉をかけられた。今後も月1回の開催をめどに、レイテ医師会との合同巡回診療を継続していく予定。


診察を待つ患者たち

診察の様子

診察の様子

診察の様子

なお、この台風30号によるフィリピン全土での被害は死者6,201人、負傷者28,689人。 行方不明者は1,061人と報告されている。約1,607万人、約342万世帯以上が被災しており、家屋の被害は114万件を超えている。(フィリピン国家災害対策本部4月17日発表)

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