東日本大震災・活動の経過と今後の活動 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

東日本大震災・活動の経過と今後の活動

5月11日で、東日本大震災発生から2か月となる。震災発生の翌日から被災地に入ったAMDA医療チームの、これまでの活動を振り返るとともに、復興へ向かっている被災地に対してAMDAの今後の活動予定について紹介する。

■活動開始から現在までの大まかな流れ■


震災直後の釜石市

震災直後の大槌町

【3月11日】
東日本大震災発生 マグニチュード9.0の地震と大津波による甚大な被害が報道され、それを受けて直ちに医療チームの派遣を決定。
【3月12日】
午前AMDA第一次医療チーム出発、宮城県仙台市に入り、活動を開始。
【3月15日】
仙台に医療チームを残し、岩手県釜石市、岩手県大槌町へ移動、新たな拠点として活動を開始。
【3月19日】
宮城県南三陸町からの要請を受け、医療チームを派遣、医療活動が開始された。
【3月21日】
宮城県仙台市の活動を現地に引継ぎ終了。
【3月31日】
岩手県釜石市の拠点を岩手県の医師会らに引継ぎ終了。
【4月20日】
宮城県南三陸町の拠点を地元医師らに引継ぎ終了。同日、岩手県大槌町の医療業務を地元医師らに引継ぎ終了。鍼灸診療や健康サポート支援は継続。
【4月30日】
岩手県大槌町での活動を現地に引継ぎ終了。現在に至る。


チャーター機で出発するAMDA医療チーム

巡回診療に活躍した電気自動車

なお、5月10日時点でAMDA医療チームとして被災地へ、のべ149名の派遣を行った。

内訳は医師51名、看護師33名、助産師4名、薬剤師3名、調整員50名、心理士2名、准看護師2名、介護スタッフ2名、鍼灸師2名。


大槌高校避難所にて

釜石の対策本部会議に参加するAMDAスタッフ

仙台市の避難所にて

南三陸町の避難所にて

被災地では、直接的な医療活動にとどまらず、現地のニーズに合わせて、児童用プレイルームの設置、栄養プログラム、炊き出し、様々なレクリエーションの企画・実行などを行い、被災地の支援活動を行った。


子どもたちとドッジボール大会

栄養プログラム・ビタミンやローヤルゼリーを提供

ロールケーキの炊き出し

コーヒーやココアを提供したAMDAカフェ

また医療チームの派遣と並行して、被災地への物資の提供を行った。被災地に派遣した医療チームから、物資供給のリクエストをもらい、AMDAの支援者のかたから預かりしている募金を使って物資を購入しトラックをチャーターし現地に届けた。(全7便。)宅配システムが復旧してからは、宅急便でも物資を現地に届けた。
主な物資:医薬品、カルテ、超音波診断器、心電計、携帯充電器、食料品、生活支援物資、米、野菜、事務用品、自転車、洗濯機、コンピュータなど


物資をトラックに乗せるスタッフ

到着した物資を降ろすAMDAスタッフ


■被災地医療支援活動の様子■
避難所に常駐しての医療活動と、小さな避難所や自宅避難をされている方たちの巡回診療を行った。
地震の被害よりも津波の被害が大きく、外科的な処置が必要な患者よりも、慢性疾患や精神的なストレスなど、内科的、心療内科的処置が必要な患者が多かった。
また長期にわたりライフラインが復旧しないことで衛生状態が悪化し、ノロ・ウイルスの流行が見られた。
しかしながら、感染者を隔離し、活動啓発活動や、清掃などを積極的に行ったことが効果を発揮した。


避難所に設けた診療スペース

巡回診療の様子



避難所で暮らす人々は、心身ともに疲労が見られ、精神的な疾患が悪化している方も多く、精神科の医師や看護師を派遣するなども行った。

またドッジボール大会や映画鑑賞会などのレクリエーションの開催は、避難所で過ごす方たちの精神的なケアにも役立っていた。

鍼灸治療なども取り入れ、巡回による治療活動も行い、再診を希望される方も多く今後も継続してく予定である。

訪問診療時には、物資の宅配も行った。

広いスペースでたくさんの避難者が生活する避難所ではプライバシーが確保できないため、避難所に間仕切りを設置したり、個室を確保できる検査トラックを設置するなど、医療以外のニーズにも対応するよう心掛けた。

 


避難所に設置した間仕切り

検査用トラックの設置

■今後の活動についての展望■
 地元の保険診療システムの復興に合わせ、直接的な医療チームの派遣を終え、鍼灸師の派遣や継続的な健康サポートプログラムを継続していく。
地元の医師や病院の支援も継続して行い、現地のリクエストがあれば医療スタッフの派遣も検討する。


鍼灸治療活動の継続

地元医師や医療機関への支援

また、AMDA東日本大震災奨学金を設立し、2011年度から3年間、釜石高校、大槌高校、志津川高校の学生のうち、将来医療従事者を目指す高校生を対象に、

各学年5名×3学年×3校、計45名へ支給を開始する予定。

すでに釜石高校では15名の選出を行い、奨学金の支給に向けて手続きを行っている。

また、夏には被災地の中学生を岡山県総社市へ招へいし、総社の中学生らとサッカーを通じて交流する「スポーツ交流プログラム」を予定している。

 


AMDA国際奨学金についての会議

高校生へ文具の寄贈