2023年度AMDA 中学高校生会ネパール研修 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2023年度AMDA 中学高校生会ネパール研修

ネパール事業担当 アルチャナ ジョシ


AMDA中学高校生会(以下中高生会)とは 岡山県内外の中学生・高校生のボランティアグループです。現在27人が所属しており、毎月の定例会に加え、バングラデシュの学生とのオンライン交流会(今年は4月に実施)、高知県黒潮町の中学生・高校生との交流会(今年も9月に実施) 等のイベントを行っています。

コロナ禍後、初めて実施されたネパールでの研修は、海外で、現地の学生や住民との交流、医療現場の見学、看護学生や医療者との交流、日本の文化の紹介など、実際に肌で異文化を感じる機会を提供し、次世代教育に力を注ぐことを目的としています。今回の研修には中高生会のメンバーの2名、大谷愛莉さん(高校3年生)と假谷采永さん(高校1年生)が参加しました。

2名は、8月12日にネパールの首都カトマンズに到着しました。翌日13日は、カトマンズにある私立の高校に通っている高校1年生3名と交流。ネパールの高校生は、ネパールの歴史、2015年に発生した地震のことや学校で実施している防災訓練について発表しました。AMDA中高生会の2名は日本の防災文化、お土産文化、お弁当文化などについて発表しました。ネパールの高校生が日本のアニメに興味があり、キャラクターが入ったお土産をもらった時はとても興奮していました。ネパールの有名な料理、「モモ」(餃子のようなもの)を食べながら好きな食べ物、学校生活、友達などについて話しをして盛り上がっていました。また、中高生会の参加者が日本から持っていた浴衣を現地の女子高校生に着せてあげました。

浴衣を初めて着たネパールの女子高校生は「日本の服を着たかったです。まさか、今日は着られるなんて思ってなかったので、嬉しいです。」と嬉しさのあまりに涙を流していました。最初は中高生会の参加者はネパールの高校生たちの英語力に圧倒されていましたが、会話しているうちに聞き取れるようになったと交流を深めていました。また、ネパールの高校生から「これからも交流できるようにしたい」とお互いの連絡先の交換をしていました。

 


ネパール研修の3日目となる8月14日は、カトマンズ空港から国内線に乗ってネパール東部のビラトナガル空港まで行き、AMDAダマック病院があるダマック市に車で移動。AMDAダマック病院を見学し、産婦人科病棟の手術室で帝王切開に立ち合うことができました。2人の高校生は、帝王切開が始まる前に無事に生まれてくるかどうかとても不安だったようですが、生まれた赤ちゃんの産声を聞き、素晴らしい命の誕生に感動して涙を流していました。

AMDAネパールは、ダマックでブータン難民の医療支援を行ってきました。既に多くの難民は第三国の国民となり移住していますが、現在もダマックでは、二つの難民キャンプに6500人の難民が暮らしており、ネパールの住民と共に国立の学校で教育を受けたり、政府指定の医療機関で治療を受けたりすることはできますが、国籍がないので正式に働くことはできません。現在は、日雇いや物売りなどの仕事をしている難民が多くいます。今回はブータン難民キャンプで支援活動を行っている若者グループのメンバーと会って、彼らが行っている活動について話を聞くことができました。難民キャンプに住む子供たちが片親になったり、経済的に余裕がなかったりして子供たちを学校に行かせられない家庭があれば、グループのメンバーが家庭訪問して、家族にカウンセリングなどをし、子供が学校に行けるように手助けをしたり、情報を共有したりしているそうです。


このグループのメンバーのほとんどがこの難民キャンプの出身です。メンバーの一人は、「自分たちも同じような状況でした。片親になったり、経済的に苦しい時に、難民を支援するスタッフ達に助けていただき、教育を受けることができた経緯がありました。しかし、現在は難民の数が減り、UNHCRの支援もなくなり、専属で支援するスタッフもいないため、自分たちでこのように若者グループを作り、困った人を少しでも助けることができればと頑張っています。」と話をしました。グループメンバーの話を聞いた中高生会の参加者は「自分たちと同じぐらいの年齢の方々が人を助ける活動をしていることに感動しました。自分たちもこれから社会貢献ができるように色々なことを学んでいきたい」と話をしました。


ネパール研修4日目となる8月15日、AMDAネパール支部がダマックで運営するAMDA institute of Health scienceで勉強している看護学生2年生40名と交流。AMDA中高生会メンバーは、日本の防災と日本の文化紹介。看護学生からはネパールの文化紹介。その後、お互いの民族衣装を着て、歌ったり、ダンスを踊ったり、とても積極的に交流しました。最後に、お互いに連絡先を交換し、今後も交流を深めたいと話しました。中高生会の参加者は「ネパール人はとても積極的で初めて会う人でも心よく受け入れて、興味を持ってくれたので、交流しやすかったです。日本では外国人が学校にきてもこのような感じで歓迎はできないと思います」と話しました。看護学生は「日本人の学生と直接会って交流するのは初めてで、日本のアニメや歌などにとても興味があったので、嬉しかったです」「将来もこのような交流ができればうれしいです」と目を輝きながら話しました。


その後、中高生会のメンバーは、AMDA ダマック病院の内視鏡検査室を訪問し、担当のディワス医師に会いました。ディワス医師より、毎年、日本から医師が派遣され、技術指導を受けていて、同病院で地元の患者たちを対象に上部及下部消化管内視鏡検査を行っていることを説明しました。中高生会の参加者は「日本の優れた医療をネパールの医師たちに受け継がれていて、首都カトマンズまで行かなくても地方で検査受けられるようになっていたことで、早期発見が可能になり、多くの命が助かっていることに対して感動をしていました。

同日にAMDA病院の看護師たちの家を訪問し、ネパール人の家庭料理をいただき、それぞれの家族の習慣などについて学び、家族の同年代のメンバーと会話が弾む中、一緒に食卓を囲み、とても歓迎されていることに感動し、楽しくて貴重な時間を過ごしました。


8月16日、ダマックでの研修を終えて無事にカトマンズに戻りました。カトマンズでAMDAネパール支部の事務所を訪問し、事務所内で実施している歯科クリニックや、乳がん検診、子宮ガン検診について説明を聞きました。また、AMDAネパール支部の医師たちと交流をし、ネパールの医療について話しました。AMDA ネパールの病院では地方の貧しい方々が医療を受けられるように体制を整えています。AMDAネパールの元支部長等から「日本の若い学生がネパールを訪問しネパールのことを勉強できる機会を作ってくださったアムダの皆さんに感謝します。また、将来、彼らがネパールを再訪した時には協力します」と話しました。


8月17日、ネワールの食文化を伝える団体を訪れて、ネパールの食文化についての話を聞き、その料理を堪能しました。民族舞踊にも挑戦!地元の学生たちと一緒に踊り、思いっきり楽しみました。参加した二人の感想を以下、紹介します。

大谷愛莉さん、高校3年生


「今回の研修で私は、以前より興味のあった防災に着目し現地の方と交流を行いました。私立学生や看護学生と情報を共有する中で、ネパールで行われている防災の?今?を知り、ただ日本の防災を広めるだけでは不十分であることを学べました。この研修は私の将来に繋がること間違いないと思います。」

谷采永さん、高校1年生

今回のネパール研修では、AMDAネパール支部が運営する病院を訪問し、看護学生や医療従事者の方々と交流しました。更に、現地の高校生や職業訓練場の女性の方々と交流を行い、お互いの国の文化の紹介をしたり、世界遺産を訪れたりと肌で異文化を感じる機会となりました。

その中でも、私はダマックでみた帝王切開が印象的でした。赤ちゃんが生まれてくる瞬間はもちろんすごく感動しました。しかし、その後、手術を受けたお母さんと対面したとき、はじめは疲れて会話もままならない状態でした。病院長によると、ネパールでは今、帝王切開の件数が増えており、多いときには一日に23件もあるそうです。その原因の一つとして、ネパールにとって帝王切開は最新技術であり、妊婦さんを支える周りの方々は帝王切開がどのような状態の出産においても最善な方法であるという間違った認識をもってしまっているからだと聞きました。このような誤解や正しい情報が得られない不平等によって犠牲になってしまう人がいるという問題を解決する必要があると強く感じました。少しでも多くの人が正しい情報を得られるような状態にするためにも、まずは日本で今回学んだ情報を広く速く正確に伝えられるよう発信力を高めていきたいです。

最後にはなりますが、以前から私達のために計画を立て、このような素敵な機会をくださったAMDAスタッフの方々、そして色々な場面で私の背中を押してくれた皆さん、本当にありがとうございました。