2010年に発生したハイチ地震以降、AMDAハイチ支部(同支部長マック・ケヴン・フレデリック氏)が主体となり、必要とされる支援を行ってきた中米・ハイチは、長引く政情不安に加え、度重なる災害や武装集団(ギャング)同士の抗争や誘拐等の犯罪により、社会不安が深刻化している。こういった状況の中、多くの人たちが安全を求めて避難民キャンプに身を寄せている。
フレデリック支部長は、2022年12月に首都ポルトープランスのデルマ(Delmas)地区にある避難民キャンプを訪問した。キャンプの住民が病気になった場合、遠くまで病院を探しに行かなくてはならない。本人達には医薬品を購入するお金もなく、キャンプには浴室はおろかトイレすらない。現地は極めて複雑かつ悲惨な状況といえる。更に、昨今の社会不安によって、現在ハイチ国内で活動するNGOは非常に少なく、彼らを支援する団体は実質的に存在しないといえる。
その後、フレデリック支部長はAMDA本部に支援を要請。そして2022年12月28日と31日、そして年明けの1月3日と7日の計4回に渡り、支部長含むAMDAハイチ支部メンバー6人と、同キャンプの責任者2人が、キャンプに身を寄せる総勢399人に健診と医薬品を提供した。更に、子どもたちには食べ物や飲み物を提供した。
健診を受けた方からは、「体調を崩して2週間経っていたが、病院にかかるお金がなかった。このような支援を受けることができて本当に満足している」と語った。また別の方は、「私たちのキャンプでこのような活動を行ってくれたのは、あなた方の団体が初めてだ」と述べた。このほか、今回の医療活動について、「毎月行ってほしい」という声も聞かれた。