AMDAフィリピン支部:街の生活を支える非正規労働者への支援 – AMDA(アムダ)
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特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDAフィリピン支部:街の生活を支える非正規労働者への支援

フィリピン担当:岩尾 智子


配布したチラシ

9月13日、AMDAフィリピン支部は、フィリピン産業医学会(PCOM)マカティ支部との協力の下、コロナ禍でありながら、街の生活を支える非正規労働者に感謝の意を示す「あなたがヒーロー(英雄)」キャンペーンを行い、マニラ首都圏マカティ市を通行する非正規労働者に感染対策セットとチラシを配布しました。

このキャンペーンを行うに至った背景には、フィリピンの非正規労働者とその家族がコロナ禍で直面している健康リスクや経済状況があります。多くは衛生環境が悪く、混み合う場所で仕事をし、暮らしていることに加え、医療ケアへのアクセスもありません。日銭暮らしのため、政府が行う都市封鎖や経済の混乱により極度の貧困に陥るリスクと常に隣り合わせです。困窮している家庭では無職・無収入になると、食糧が購入できず生きていけません。長期的な仕事がないと生活が立ち行かなくなるのです。実はこのような状況下で生活している非正規労働者が労働市場の大部分を占めています。AMDAフィリピン支部とPCOMマカティ支部は非正規労働者へ「あなたたちを見放していません。いつもありがとう。あなた方がヒーローです。」というメッセージを伝えられるようなキャンペーンを企画しました。

また、特に都市部の貧困地域に暮らす非正規労働者は、新型コロナウイルス感染症やその症状、物理的距離をとるといった感染症対策についての正しい知識を持っていません。彼らが仕事を継続できたとしても、個人防護具を確保したり、清潔な手洗い場を利用することは難しいです。このキャンペーンでは感染予防の啓発として、手指消毒液、フェースシールド、マスク10枚、ポカリスエット飲料1本のセットと、感染対策情報をまとめたチラシを一緒に配ることにしました。


屋台の店主に物資を配布


非正規労働者に声がけ

配布に際しては、マカティ市ポブラシオン地区(Brgy Poblacion)「美化と社会秩序委員会」のチャン氏にご協力いただき、同地区内マリアオーロラ通りを通行する非正規労働者125人に感染対策セットとチラシを手渡しました。今回、対象とした非正規労働者は、1.マカティライダー(マカティ市から依頼を受けて、同市保健所管理下の患者に常服薬を配達したり、新型コロナウイルス感染症患者に物資や食糧をバイクで届ける人)、 2.タクシー運転手、 3.トライシクル運転手、4.屋台の店主、5.ファーストフード配達員、6.道路や公園の清掃員でした。物資を受け取ったマカティライダーは「この感染対策セットはとても便利だし役立つよ。ありがとう。」と話しました。また、フルーツ屋台の店主は「ありがとう。自分たちがしている仕事は大切だし、感謝されている、と感じたよ。」と口にしました。一緒に活動したポブラシオン地区のチャン氏は「皆で一緒にコロナ禍の困難を乗り越えていきましょう。PCOMやAMDAのような民間組織と協力できて嬉しいです。」と述べました。

 


受け取った物資を手にする人


マカティライダー

AMDAフィリピン支部のナバロ医師は活動について、「家事代行者、食糧配達員、屋台の店主、ゴミ清掃員などとして働く非正規労働者はコロナ禍において弱い立場に置かれており、健康を取るか、生活の糧を取るかという選択に迫られています。フィリピンのように都市封鎖を行っている国では、パンデミックとは『仕事無し、収入無し、食糧無し』ということを意味します。AMDAフィリピン支部とPCOMをはじめとした民間団体は非正規労働者が庇護の対象であることを認識し、彼らへの支援を行いました。コロナ禍においても、非正規労働者は本当に私たちの生活に欠かせない人たちでケアが必要です。」と語りました。

このキャンペーンは大塚ソーラーフィリピン社、Unilab製薬UAP支部よりご支援いただきました。