救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ハイチ国内避難民巡回診療支援活動報告

2026年1月から4月にかけて、AMDAハイチ支部は、ハイチの首都ポルトープランスのデルマス地区を中心とする国内避難民キャンプで、巡回診療と生活支援を行いました。

ハイチの現状

ハイチでは、2021年7月に大統領が暗殺された後、大統領選挙が実施できないまま、暫定大統領評議会と首相のもとで政府が運営されてきました。暫定大統領評議会は2026年2月に任期を終え、現在は首相が率いる閣僚評議会が行政を担っています。一方、国民議会は上院・下院ともに議員の任期が切れたまま機能しておらず、政情不安が続いています。

こうした政治の混乱が続く中、特に深刻なのが、武装集団(ギャング)の暴力によって住まいを追われる人の増加と、行政サービスの機能低下です。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、2025年9月時点でハイチ国内の避難者は約140万人にのぼりました。首都ポルトープランスでは住民の8割以上が武装集団の支配下にあるとされています。武装集団が警察署や病院、港湾などの主な公共施設を破壊したため、医療を含む行政サービスは大きく低下しており、燃料・水・食料など生活に欠かせない物資も国内で届きにくくなっています。

避難した人々の多くは、学校や公共施設の教室を利用した避難キャンプで暮らしています。キャンプには多くの家族が身を寄せ合っていますが、水や衛生設備は十分ではありません。医療機関が機能しなくなったり移動が制限されたりして、受診できない人も少なくありません。また、医薬品の多くを輸入に頼っているため、港や道路が封鎖されると価格が上がり、手に入りにくくなる状況が続いています。

AMDAハイチ支部による避難民キャンプへの巡回診療

治安の悪化により日程を変更することもありましたが、AMDAハイチ支部の医療チームは安全を最優先にしながら週2回をめどに活動を続け、25か所のキャンプでのべ2,790人(医科2,305人、歯科485人)を診療しました。医科では、発熱や感染症、マラリアが疑われる症状のほか、高血圧や糖尿病などの慢性疾患にも対応し、症状に合わせた医薬品を無償で提供しました。避難生活の中で通院を続けられなくなっていた慢性疾患の患者も、継続して診ることができました。歯科では抜歯を中心に処置を行い、感染を防ぐための投薬もしました。

子どもたちへの食事支援・衛生支援

各キャンプに身を寄せる子どもたちに、調理済みの食事と飲み物を配り、栄養状態を確認しました。支援した子どもはのべ1,080人です。また、特に衛生環境が厳しいキャンプでは衛生キットを配布しました。

現地の声

自宅を焼かれて避難してきた家族は「ここで診てもらえることで安心できる」と話しました。ほかにも「体調が悪いときにすぐ相談できる」という声が寄せられ、医療を受けやすくなったことがうかがえました。支援の継続を望む声も多く、支援の必要性は依然として高い状況です。

今後の活動は、現地の治安の状況を見ながら慎重に判断していきます。厳しい状況の中で活動を続けるAMDAハイチ支部と連携しながら、AMDAは引き続き現地の状況を注視していきます。

※本事業は「フェリシモ 地球村の基金」の助成を受けて実施しました。ご支援くださった株式会社フェリシモ様、基金にご協力くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。