ウクライナ人道支援活動:協力医療機関 『City of Goodness』からの報告(2025年8月~11月) – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ウクライナ人道支援活動:協力医療機関 『City of Goodness』からの報告(2025年8月~11月)

 11月18日、AMDAは『City of Goodness』 とオンラインミーティングを行いました。前線から遠く離れたウクライナ西部にある同団体は、DV・貧困から身を守るため避難してきた人、戦闘地域から逃げてきた親子や孤児、緩和ケアを必要とする子どもを含めて、300人が身を寄せています。新年度が始まる9月には、16人が新一年生になり、学校に通い始めました。その多くが、危険地域から逃れてきた子どもたちです。

 まず、8月に『City of Goodness』が主催し、海外も含め500人を超える参加者が集まった、子どもの緩和ケア国際会議と、翌9月に同団体が主導し、開催に至った、子どもの緩和ケアに関する啓蒙活動について、報告がありました。ウクライナ全土に広がったこの活動の反響により、学校で子どもの緩和ケアについて学んだ子どもたちから、ボランティアをしたい、という問い合わせが急増し、さらに、SNSにおいて、小児緩和ケアについての情報発信も頻繁に行われるようになった、と成果を共有くださいました。国が困難に直面している中、小児緩和ケアの必要性を訴える同団体の前向きな姿勢に強さを感じました。

 続いて、現在のウクライナの状況と冬を迎えるにあたっての備えについて、説明がありました。発電所への攻撃による影響か、最近は、12時間を超える停電が続くこともあり、特に酸素吸入などを必要とする子どもたちへのケアが困難になってきている、と『City of Goodness』 代表のマルタ氏は訴えました。停電時に使用する発電機の燃料である灯油の価格も上昇しており、1か月に施設で消費する灯油の費用だけでも、15,000米ドルに上ります。さらに、約1か月前、首都キーウにある大手医薬品卸売業者の倉庫が爆撃され、およそ2億米ドル分の医薬品が失われたことから、医薬品供給にも多大な影響を及ぼし、種類によっては30%から40%値上がりしていると言います。このような中、冬の風邪やインフルエンザの流行に備え、AMDAからの支援で医薬品を確保したと、報告がありました。マルタ氏から「AMDAからの支援により、躊躇うことなく、医薬品を確保でき、私たちの施設に暮らす親子の食材も購入した。このような継続的な支援は本当にありがたい。感謝している。」と話がありました。

 最後に、日本ではウクライナの状況を伝えるニュースが少なくなっていることを踏まえ、AMDAからは、このミーティングで伺った情報を私たちも発信していこうと思う、とお伝えし、ミーティングを終えました。AMDAはこれからも、『City of Goodness』を継続的に支援していきます。