2015年 11月18日、インドネシアのマカッサルで「GPSP医療と魂のプログラム慰霊祭」が行われました。第二次世界大戦の終戦から70年という節目の年にあたる今年は、在マカッサル日本領事事務所長の谷昌紀様のご臨席を賜ったほか、日本からご出席いただいた臨済宗の大屋昌基様、 山内正樹様、魚住和寛様、鮎川直樹様、AMDAボランティアスタッフの矢部賢次さん、矢部朝子さんご夫妻、そして、AMDAインドネシア支部長のフスニ・タンラ医師、さらにはイスラム、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥ、仏教の各宗教代表者も出席。共に第二次大戦で犠牲になったすべての国の人々のご冥福と世界平和への祈りを捧げました。
出席した各宗教指導者は式典の中で「互いを尊敬しあうことが世界の平和につながっていく。一人ひとりができることをしていきましょう」「先の大戦では、終に広島、長崎という悲劇を引き起こした。二度とこのような悲劇を繰り返してはならない」「大戦の犠牲者が穏やかに眠れるように」「フランスのパリで起こった犠牲者のために黙祷しましょう」等とスピーチを行いました。それに続いて、大戦で亡くなられた日本人、インドネシア人、そして自然災害によるすべての犠牲者のために日本のご住職方による慰霊の読経が行われました。
参加者からは、「宗教の垣根をこえた慰霊祭というのは初めてのことで、インドネシア政府も開いたことがないと思う」「長くマカッサルに住んでいるので御線香のかおりが懐かしかった」「ご住職方の読経がすばらしかった」などの声が聞かれました。式典への参加者は各宗教の代表者、AMDAインドネシア関係者、マカッサル市内在住の日本人を合わせて計120名以上となり、全ての参加者が心を合わせて先の大戦での犠牲者を偲ぶとともに、平和への祈りを捧げた式典となりました。
式典終了後、日本のご住職方と矢部さんご夫妻はマカッサル市内で大戦後に亡くなった日本人の慰霊碑へ参拝し、地元の有志として慰霊碑を守っている84才になるマカハウベ婦人にお会いしました。マカハウベ婦人が慰霊碑を管理するようになった経緯や、現在も遺族の方がたびたび日本やインドネシアの地方からも絶えず尋ねてくることなどのお話しを伺い、矢部さんご夫妻と、マカハウベ夫人は手をとり合い、日本の歌を共に口ずさみました。 そして、慰霊碑を長年にわたって守ってくださっていることに心からの感謝を伝えました。
平和は、一人一人の願いや想いがその礎であることを、深く心に刻み、また教訓とする大切な一日でした。