台湾IHA、岡山県内災害拠点病院を視察 – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

台湾IHA、岡山県内災害拠点病院を視察

AMDAと協力協定を結んでいる台湾保健省の外郭団体、台湾IHA(台湾国際医療支援チーム)より2名の方が、7月9日の「第3回南海トラフ災害対応プラットフォーム調整会議」出席のため来岡されましたが、会議前日の8日、日本の病院における災害対応の見学のため、災害拠点病院である岡山済生会総合病院及び川崎医科大学付属病院を視察されました。

岡山済生会総合病院では、病院内の免震構造や救急センターを視察し、またこの日病院敷地内で行われた東京都・岡山市水道局による合同防災訓練も見学することができました。大規模災害発災時に東京という遠方からも救援が来る体制に、台湾IHAの方々も感心されていたご様子でした。更に、病院スタッフで組織される災害派遣医療チームDMATについて、熊本地震の際にも出動した専用救急車内部の見学に加え、熊本地震緊急医療活動に参加されたDMATの方々より活動についてのご説明及び体験談を直接お伺いする時間を頂戴し、熊本での緊迫した活動や海外での医療支援活動について台湾IHA側も質問する等、DMATの方々と交流を深めていました。

川崎医科大学付属病院では、DMATについてのご説明と県内の病院に唯一常駐しているドクターヘリについてのお話をお伺いした後、救急救命センター及びドクターヘリ関連施設を視察しました。台湾にはドクターヘリがないこともあり、「運行条件があるものの、ドクターヘリの要請を受けるとすぐさま担当医と看護師がヘリに乗り込み出動する。要請を受ければ県外まで出動することもある」というお話に、台湾IHAの方々も強い関心を持たれていました。また、この日は雨天だったため実物のドクターヘリにはカバーがかけられていたのですが、今回カバーを外しヘリの内部まで見学させていただいたことにも、謝意を示されていました。

今回上記2病院を訪問後、台湾IHAの方々も「今後の災害時の対応の参考として学ぶことが非常に多く、有意義な時間を持つことができました。機会があれば、一緒に活動できれば、と思います」とお話しされていました。今後、甚大な被害が予測されている南海トラフ災害発災時には、台湾IHAからも支援してくださると表明していただいています。より現実的な台湾IHAとの協力体制構築に向けて、AMDAも活動していく所存です。

最後となりましたが、この度、台湾IHAの視察に際しご尽力を賜りました岡山済生会総合病院並びに川崎医科大学付属病院に心より深く御礼申し上げます。そして、上記2病院より今回の台湾IHAの視察に関しメッセージをいただきましたので、掲載させていただきます。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部岡山県済生会 支部長 岩本 一壽様
「今後、台湾IHAの活躍に期待しています。また、当会のスタッフと一緒に活動できる機会があれば、協力し合って活動できるといいですね。」

社会福祉法人恩賜財団済生会支部岡山県済生会 総務部次長 高市 真須美様
「(台湾IHAから来岡された)頼さんも林さんも熱心にDMAT車両、ヘリポートや免震装置などを見学され、当院のDMAT隊の熊本での活動報告にも、あれこれ質問され、医師、看護師、調整員と積極的に意見を交わしていらっしゃいました。台湾IHAの組織体制についてもお話しくださり、頼もしい団体だと感じました」

川崎医科大学 救急医学 教授
川崎医科大学附属病院 救急科・高度救命救急センター 部長 荻野隆光様
「この度は、南海トラフ地震を想定した日本国内外の協力体制構築のための会議である、第3回AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム調整会議に参加していただきありがとうございます。また、当院を訪問していただき、日本が災害時対応として構築したDMAT(Disaster Medical Assistance Team)の活動および救急医療ヘリコプターサービスであるドクターヘリを視察していただき、日本の災害医療を担う重要な二つの活動を理解していただく機会を持っていただいたこと感謝いたします。
このように、台湾政府IHA代表の皆さんが日本を訪問していただいたことにより、台湾と日本の災害に対する相互協力体制が今後更に強固に構築されることを願っております」

尚、AMDAは台湾IHAと共同で2011年からスリランカでの白内障手術プロジェクトなどを実施しています。