熊本地震を体験し思うこと
益城町長 西村 博則
今回の熊本地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
震度7の地震が2回も発生するという、誰もが予想できない事態が起こり、地震発生当初、私は「何で益城町なのだ!」と持って行きようのない怒りと絶望感に襲われていました。
しかし、「自分たちも頑張るから町長も頑張れ!」「私たちに何かできることはありませんか?」など多くの町民の皆様から声を掛けていただき、心を奮い立たせ、どんな困難も乗り越えていこうと強く心に誓いました。
しかし、震度7の地震が2回発生したという心のダメージは被災者、行政職員にとっても計り知れないものがありました。
また、それまで経験したことのない思いもかけない事態が次々と発生し、現場は大混乱しており、統制が取れていないような状況でした。
そのような状況のなか、AMDAの皆様には4月14日の前震直後から、広安小学校などで支援活動を行っていただきました。
震災直後は、広安小学校避難所はもちろん、校庭も車中泊をされる車で一杯の状況でした。AMDA医療チームは他の医療チーム、職員と連携しながら活動し、避難所の段ボールベッド導入などの環境整備、ノロウイルスなどの感染症予防、エコノミークラス症候群等の予防、避難所の運営などにより、健康面での不安を取り除いていただき、多くの避難者の皆様から感謝をされています。役場職員、学校関係職員も避難所運営の経験や医療関係の専門知識が少なく、AMDAの存在は非常にありがたいものがありました。
その間、全国の皆様からも支援を受けながら、職員も落ち着きを取り戻し不眠不休で業務にあたり、ライフラインの復旧、罹災証明の発行、役場の機能回復、仮設住宅の入居、倒壊家屋の公費解体、復興計画の策定に向けた住民意見交換会の開催と復旧復興に向けて進んでいます。
今回の地震を経験して、防災に対して一番大切なことは、一人一人の防災意識の向上と普段からの地域づくり、まちづくりであると感じました。
「自分の命は自分で守る」という個人の災害に対しての心構えの意識付けと、地域づくりをすることにより、地域防災組織づくりにつなげていくこと、そして行政もどんな災害にも「想定外」とならないように備えることが、今回のような大規模災害に対応でいきると考えています。
最後に、今回の地震にあたり、日本全国から励ましの言葉や支援、さらに、AMDA皆様をはじめボランティアやNPO、全国の自治体職員の人的支援があったからこそ、これまで復旧することができました。
震災前より災害に強いまち、安心・安全なまちをつくることが支援していただいた皆様への恩返しとなります。長い道のりとなりますが、町民の皆様と力を併せて全力で取り組んでまいります。
今後ともご支援のほどよろしくお願いします。