台風19号及び22号の緊急支援活動を終えて – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

台風19号及び22号の緊急支援活動を終えて

AMDAフィリピン支部長 エルレイ・ナバロ

AMDAフィリピン ナバロ支部長

仕事でカザフスタンを訪れていた11月1日、フィリピン国内における台風19号(現地名:ロリー)の被災状況がメディアで報じられていました。考える間もなく、私はフィリピンにいる家族や友人達の安否を確認するため、電話やSNSで連絡を取り始めました。テレビに映った現地の様子を見て、いち早く国内の同胞達に助けの手を差し伸べねばと思い、私はすぐに日本のAMDA本部に連絡を取りました。協力をお願いできないか問い合わせたところ、本部からの回答は「イエス」。これがおよそ1ヵ月間に及んだ二つの台風に対する緊急支援活動の始まりでした。

コロナ禍での緊急支援は普段とは様子が異なりました。メンバーの大半が医療従事者であるAMDAフィリピンは、スタッフの多くがコロナの最前線で戦っていたことから、それぞれの職場を離れられませんでした。しかし、タガログ語で「相互扶助」を意味する”バヤニハン”精神の下、私達フィリピン支部とAMDA本部は、パートナー組織と協力して、被災者を支援することができました。

このような経緯を経て、AMDAフィリピンは、AMSAジョネルタ支部、カタンドゥアネス大学、AMDA本部と緊密に連携し、台風19号で被災したカタンドゥアネス島の人々に対して、緊急支援活動を行いました。また台風22号(現地名:ユリシス)に対しては、若き医師達及び医学生達が中心となり「ルソン危機行動チーム」(LCAT)を結成して活動しました。AMDAフィリピンはこのチームの一端を担い、ルソン島北部に位置するカガヤンとイサベラの両州で被災者の救援に当たりました。全ての支援物資は無事配付され、台風直後だったこともあり、物資を受け取った方々から大変喜ばれました。











その後すぐに通信網や道路のアクセスも復旧し、現地は現在復興期に入っています。漁業や農業に従事する多くの人達は収入源を失うこととなり、依然として大変厳しい状況が続いています。この状況下で、複数の団体が彼らの支援に乗り出しました。復興には時間がかかるかもしれませんが、私は必ずや日常が再建されると確信しています。


”Bangon Catanduanes, Cagayan and Isabela!”

  (「立ち上がれ!カタンドゥアネス、カガヤン、そしてイザベラ!」)


今回もまた緊急支援活動を通じて、AMDAはローカルイニシアチブの重要性を改めて認識し、国境越えた相互扶助の意義を力強く訴えることができました。この中に私達フィリピン人の誇りであるバヤニハンの精神が息づいていることは言うに及びません。