国際部 近持 雄一郎
日本とパキスタンの友好親善に長年尽力してきた功績が認められ、AMDAの協力団体であるパキスタン・ハムダード財団のサディア・ラシード氏が、昨年、上皇陛下(天皇として在位時)より旭日中綬章を授与されました。ラシード氏は現在パキスタン日本文化協会シンド支部(PJCA)の会長を務めています。
ラシード氏の父、故・シャヒード・ハキム・モハメッド・サイード博士は菅波AMDA代表が師と仰ぐ人格者であり、博士が1998年に凶弾に倒れるまで、家族ぐるみで親交を深めてきました。
東洋医学の権威でシンド州知事としても活躍したサイード博士は、近年同国において最も影響力のあった人物の一人です。現在、医科大学や病院を運営するハムダード財団ですが、その設立の根底にあったのは、博士の尽きることのない人道精神でした。AMDAパキスタン支部の創設もまた博士の存在無くしては在り得ず、いずれもシンド州や周辺地域に暮らす貧しい人々の生活の向上に大きく貢献しています。
そんなサイード博士の精神を引き継ぐ愛娘のラシード氏は、日々財団の運営にあたる一方で、様々な慈善活動に従事しています。PJCAは、日巴間の文化交流やパキスタンにおける日本語教育の普及に努めており、今回の栄えある受賞もこれらの功績が評価された結果であるといえます。
ラシード氏の受賞を祝し、在カラチ日本国総領事館の磯村利和総領事は、2011年の東日本大震災の際、PJCAから寄せられた支援に対して改めて謝意を表しました。震災発生直後、日本の被災者に対する支援を募る為、PJCAは『ソリダリティーウォーク』と題したチャリティーウォークを開催しています。
今回の受賞は、偶然にもサイード博士の生誕100周年の前年にあたります。菅波代表のことを「私の兄」と親しみを込めて呼ぶラシード氏。二人の間に育まれた強い絆は、あたかも長年連れ添った実の兄と妹のような深い結びつきを思わせます。
サイード博士の命を受けたラシード氏や菅波代表もまた、今後各々の善行で周囲の人々を感化していくことでしょう。